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次の日、俺達は遊園地に行った
土曜だったから誰にも怪しまれずに済んだ
「翔、次はあれ!」
「まだ乗るの?」
「勿論!」
ほとんどのアトラクションを制覇したけど楽しいからもっと乗りたい
・・・・・楽しい?
そっか・・・・・俺、今楽しいんだ
そっか・・・・・・・・・でもこの楽しいはもう二度と現れる事の無い時間なんだ
「どうした?」
「ううん、やっぱり休憩しようか」
「だな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうした?」
「ううん・・・・・何でもない」
「言え」
「んと・・・・・楽しいって思ってしまったから」
「ばーか!それでいいんだろ?遊園地に来てつまらなかったら来る意味が無い」
「そうだけど」
「また来たいのなら今日は家に帰れ」
「嫌だよ!ごめん・・・そんなつもりじゃないんだ・・・・ホントに楽しかったから嬉しくて」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ごめん・・・・・・翔」
「クスッ」
「もう!」
「じゃ、夜はゲーセン行ってその後カラオケにでも行くか」
「ホント?行った事が無いから嬉しい」
「あくまでも普通にな」
「わかってる」
そして夕方まで遊園地で遊んだ
最後に乗った観覧車・・・・景色がとても綺麗だった
乗る時はお互い正面にいたけど、すぐに俺が翔の隣に座った
手を繋いで見る夕陽はとても大きくて綺麗で・・・・・・泣きそうになった
この景色を見るのも最後なんだ
しっかり目に焼き付けておこう
「翔・・・もうすぐてっぺんだよ」
「だな」
「翔・・・・・高いね」
「だな」
「翔・・・・・・」
「ばーか」
そう言って笑いながらキスをしてくれた
ホントはそう言いたかったけど恥ずかしくて言い出せなかったんだ
でも、翔はわかってくれた
だから嬉しかった
観覧車も時間と同じ
始まりがあれば終わりが来る
でも、ずっと乗っているのは嫌かな
変わらない景色しか見えないしね
「楽しかったねっ!」
「だな」
きっとここを歩いている人達は俺達がもうすぐ死ぬ事なんて知らないんだろうな
当たり前だけどさ・・・・・
翔が犯罪者って言う事も、俺が殺人犯の息子だと言う事も
人混みに紛れてしまえばわからないんじゃないのかな・・・なんて思ったけど、もう決めた事だし考えるのはやめよう
生への執着があるわけじゃない
ただただ・・・・怖いだけ
考えるだけで足が震える
「燕羽」
「ごめん・・・・何でもない」
「休憩するか?」
「平気!」
「そっか」
その後、初めてのゲーセンに行った
ここも遊園地みたいでワクワクした
ゲームは初めてで下手だったけど楽しかった
アイスを食べたり、俺が女装してプリも撮った
恥ずかしかったけど、面白かった
「ごめん、すぐ戻る」
「うん」
突然、誰かを見つけて翔がどこかに消えてしまった
本当に戻ってくるの?
このまま置き去りに・・・・・・
そんな事を考えていたら怖くて翔を必死に捜した
「翔っ!」
「どうした?」
「・・・・・・・・・ごめん」
「こんばんは、翔の友達?」
「こんばんは」
誰だろう
年上みたいだけど、翔は普通に会話していた
「じゃ、これ」
「サンキュー」
「しかし、相変わらず不眠症か?」
「だね」
「今回はサービスしておいたから飲み過ぎるなよ」
「わかってる、じゃまたね」
「おう!また遊ぼうぜ」
またね・・・か
さようならとは言えないものね
「どうした?歩き回って迷子になったらどうするんだ?」
「だって・・・・このまま戻らないような気がして」
「俺ってそんなに信用ない?」
「・・・・・・・・・・・ごめん」
「薬をもらったんだよ」
「薬?」
「眠剤」
「あっ・・・うん」
そっか
そんな事を昨日言ってたっけ
「お前を置いてどこにも行かないから安心しろ」
「うん」
きっと、俺の精神状態はすごく不安定だったんだ
だからすぐ泣いてしまうんだ
「あーー、翔!いじめかぁ?」
「違うよ!」
「久しぶりだな」
「だね」
今度は誰?
やはり年上みたいだけど
涙を指で拭いながら俯いた
「ここに来ると必ず誰かに会うから嫌なんだよな」
「まぁまぁ、煙草あげるからさ」
「ったく」
煙草・・・・
1本じゃなくてたくさん
10箱
煙草は何て言うんだかわからないや
「1カートンとは稼いだね」
「まぁーね」
1カートンって言うんだ
へぇ
「で、彼は?」
「恋人」
「何っ!!嘘だろ?翔に恋人??」
えっ・・・
言っちゃうんだ
いいけど・・・・あはっ
「お前、政界のお偉いさんや大企業の息子を振って、モテまくりの薬剤師のあいつも振ってドイツ人のイケメン外交官も振って、人気アイドルも振って更にイケメンホストNO1の俺まで振って・・・・マジかよ」
やっぱりもてるんだ
そんな感じはしてたけどすごいな
「あのさ・・・それ以上余計な事を言うのなら殺すよ?」
「わかったわかった!そっかー、翔が初めて好きになった人かぁ」
うっ・・・
めちゃ見られてる
「どうもー!」
「こんばんは」
「で、どうやって落としたの?いや落とされた方だったらすごいよ!いやガチで!」
「ガ、ガチ?」
「いい加減にしろよ」
「だってさー」
「俺が好きになったんだよ」
「えっ・・・嘘っ!」
「失礼な奴だな」
「ごめん、てかホント?」
うっ・・・
聞かれてるんだよね?
どうしよう
「えと・・・好きだと言ったのは俺が最初だったような・・・・」
「ん?」
「いい加減にしろ!お互い一目惚れだ!わかったら消えろ」
「一目惚れ・・・・へぇ・・・・信じられない」
「黙ろうか」
「でも、本気なんだろうな」
「ん?」
「いや、翔が今まで誰かを庇う事なんて一度も無かったしさ」
「・・・・・・・・・・・・・まぁね」
「そっか、でもまだ学生だろ?」
「・・・・・・・・・・・・死ぬか?」
「わかったから!じゃ今度飲みに行こうぜ」
「だね」
「じゃーな」
「またね」
「あいよ!」
翔は笑顔でまたねって言っていた
二度と会えないのにまたねって・・・・・
「疲れたのか?」
「ううん」
「でも元気がないな」
「翔って友達がたくさんいるんだね・・・みんな年上だしカッコいい人ばかりで焦っちゃった」
「あ~、ごめん」
「ううん」
俺の知らない翔の世界がここにあった
今までどんな生き方をしてきたんだろう・・・なんて考えても仕方が無いよね
「じゃ、カラオケ行こうか」
「うん」
そのまま店を出て歩いていると、また声を掛けられた
その度にドキドキする
「翔」
「はぁ・・・・」
「いきなり溜息とは相変わらず冷たいな・・・で、どこに行くんだ?」
「内緒」
「内緒ね・・・ホテルでは無さそうだな」
「違うよ、昨日は夜中までやったしね」
「えっ・・・誰と?」
「こいつと」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
明らかに信用していない顔だ
しかもこの人も綺麗だし
「恋人なんだからいいだろ」
「恋人?初耳だが」
「そうだろうね」
「遊び・・・・」
「殺すよ?」
「じゃないのか・・・・・そうか・・・・恋人・・・翔に」
「わかったら消えろ」
「成程な・・・・そうそう、思い出した」
「何?」
「お前に仕事依頼が来てるけど」
「ごめん、しばらくは休業」
「そうか、わかった」
「ごめんね」
「いや・・・・で、どこに」
「教えない!じゃね」
「今度食事でも行こう」
「そうだね・・・・またね」
「ああ」
こんな感じでカラオケ屋さんに着くまで声を掛けられていた
ホントにすごいんだな
男女問わずモテるんだ
そんな人が俺の恋人なんだ・・・・・・・
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