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Act 3,告白 ①にしおりをはさみました!
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Act 3,告白 ①
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教室は静まり返り、部活動だろう、グラウンドから覇気のある声だけがよく聞こえた。
浅海の横顔は憂いを帯びていた。綺麗だと、瀬世は単純にそう思った。
「――オレが妻と出会ったことを話すには、まずオレがなぜ結婚する気になったのかを話す必要がある。
前に、男性を好きになったことがあるかと言ったな。……あぁ、あるよ。あるし、その子は私の教え子だった」
浅海はすぅっ、と目を細めると瀬世が見たこともない優しい顔をしてみせた。無意識であった。
瀬世は『その子』に嫉妬を感じたが、行き場のない虚しいものであった。
「可愛い子だった。素直で、優しくて、暖かくて。放課後に教室で、オレの時間が許すまで一緒にいた。
……気づけば大好きだった。絶対に抱いてはいけない感情だった。でも、それでも一緒にいたかった。彼のために、自分のために、気持ちを奥底に秘めたんだ」
ずっと、ずっと、何も言えずに。
ずっと、彼の綺麗な横顔を見ながら。
オレはずっと、ずっと、ずっと――
「でもある日――彼は他の男子生徒たちに襲われそうになったんだ……。元々いじめを受けていたらしくて、その延長で……」
今でもよく覚えている、彼のあの苦痛に歪んだ顔を。
綺麗な顔だったんだ。綺麗な顔だった彼を、あんな顔にさせたことにただただ腹がたった。
教師としてではなく、一人の人間として、男として許せなかった。
「オレが教室に入ると男子生徒たちは逃げていった。彼は……尻に鉛筆を入れられて……そりゃあもう……悲惨で、痛々しくて。
彼を保健室に運ぶとオレは薬を塗ってやろうと思った。なんとかしてやりたくて。
でも……――オレは彼を襲おうとした」
浅海のその一言に瀬世は動揺を隠せなかった。
それは自分の知らない『浅海』がいることよりも、『浅海』の中でずっとあり続けている『彼』が『浅海』の好意を受けていることに対して、自分がたまらなく嫉妬していることにであった。
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