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18歳以上ですか?
-35-にしおりをはさみました!
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-35-
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冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、一口飲んで喉の奥に潤いを与える。ペットボトル片手に不自然にならないよう、ソファに座ってテレビを一心に見つめる凪の隣に腰を下ろした。
俺の体重でソファが沈み込むのを感じたのか、僅かに凪の肩が揺れる。それは注意深く見ていなければ分からないほどで、取り繕うのが上手い凪らしいなと思った。もう俺には通用しないけど。
「何のテレビ見てたんだ?」
「お笑いですよ~。あまり面白くなかったけど」
「ふぅん。凪はテレビはよく見るのか」
「全然見ないで~す。寮だし、勉強しなきゃだし」
「お坊ちゃま高校も大変だな。でも今しか出来ないことだし、精一杯やっとけ」
「狐塚さんはどんな高校生だったんですか~?」
「俺か?男女共学の普通の県立高校だったよ。強いて言うなら部活、頑張ってたな」
少しでも凪のことが知りたいから無難な質問を投げかけてたら、逆に凪から俺に対しての質問をくらって気分が高揚する。過去の俺にも興味を持ってくれているってことは、やっぱりそういうことだよな。
「何の部活ですか~?」
「当ててみろ」
「ん~その肌の色は日焼けです~?それとも生まれつき?」
「生まれつきじゃねーか?日に焼けるときはもっと黒くなるしな」
「え、まだ黒くなるんだぁ」
「なんだその目は。食べられたいのか」
からかって言えば、ぶんぶんと力強く首を横に振られる。そんな全力で拒否しなくても。軽く傷つく。でもそんなやり取りですら好きなやつとしていると思ったら、嬉しいと思うんだから恋というものはエジソンよりも偉大だ。
しばらく悩んだ凪は、野球サッカー陸上バスケと無難な部活の名をあげていくが、どれも不正解。確かによくサッカー部っぽいとは言われたが俺は球技はあまり好きではない。
「全然分からな~い!答え教えて下さい~」
「教えたら何してくれるんだ?」
「…そういうこと言います~?」
「ただで教えるわけにはいかねーな」
「だったら知らなくてもいいや~」
「ちっ、嘘だよ。答えは山岳部」
「山岳部~?」
目が瞬く。意外だという表情だ。それもそうだろう、俺は山より海が似合うと散々言われてきたが実際、海は嫌いだった。あまりいい思い出がない。
「山に登るやつ、ですか~?」
「まぁ簡単に言えばそうだが、ただ山に登るだけだとだたの登山だな。山岳部はロープを使ったりしてちょっとやっかいな場所も登ったりするんだよ」
「へ~だから腕の筋肉すごいんですねぇ」
「なんだ、俺の筋肉に触りたいってか?」
「ちが、違います~!」
「ふはっ…本当に可愛いな、凪」
お、赤くなった。ヘラヘラした笑みだけじゃなくて焦ったり赤くなったり、恥ずかしがったりする凪の表情を見れることに優越感を覚える。この可愛い顔は俺以外、誰も知らなくていい。俺だけが知っていればいい。
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