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第3話にしおりをはさみました!
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第3話
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王様はそれでも現実を受け入れられませんでした。
次に王様は「或る人」がまだ服職人だった頃から、「或る人」とずっと友達の人達をお城に呼んで尋ねました。
彼に妻がいるのか、と
しかし「或る人」の友達はみんな口を揃えて
いません、少なくとも僕たちにはいないと断言しました、
と答えました。
王様は次に「或る人」が伯爵になってから友達になった人達をお城に呼んで同じように尋ねました。すると彼らは
いますよ。確実に、みんな知ってますよ。
と、さも当然のごとく答えました。
王様は
「きっと私からもっとたくさんお金を巻き上げるために嘘をついているのだ!私を騙したのだ!あの友達とやらもみんな詐欺仲間で、一緒になって騙しているに違いない!」と思いました。
王様は次第に誰のことも信じなくなりました。
王様は大好きで毎日のように開いていたパーティーに全く参加しなくなりました。王様と会えないとわかると「或る人」とその友達以外、次第にみんなパーティーに来なくなりました。
王様はみんなと会わず話さずたった1人でよく図書室にこもりました。そこで王様は様々な本を読みました。こっそり覗いた家来達は始め安心しました、王様はただ本を読んでいるだけだと。しかし王様の読んでいる本を見て全員驚きました。これまで、物語や小説や哲学書、歴史書を読んでいた王様が今読んでいる本はどれも
殺人や拷問や黒魔術の本だったのです。
それらを読む王様の顔は感情がありませんでした。
ただ、両目から一筋ずつ流れる涙を除いては。
かつて、感情豊かで清々しいほど喜怒哀楽のはっきりした王様は跡形もありませんでした。家来達はそんな王様を見て恐怖のあまりその場からすぐに逃げ、貴族のみなさんに伝えました。「或る人」を嫌う人達は王様を助けようと本気で考えるようになり、「或る人」を好む人達はこの機に乗じて儲けようと考えました。
しかし誰も「或る人」にこのことは伝えませんでした。
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