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第4話にしおりをはさみました!
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第4話
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しばらくの間、暗い空気がお城を、そして王国を包んでいきました。
王様を助けたい貴族達は王様を勇気づけるために王様を見かけたら駆け寄って挨拶をするように心がけました。
しかし、いつもならどんなに嫌なことがあっても「ごきげんよう」と返してくれる王様は貴族達に、ただ軽く微笑み小さく頷くだけの反応しかしませんでした。大臣達は王様を心底心配し、困っていることがあればなんでも相談してほしいと何度も頼みましたが、王様はいつも
なんでもない。大丈夫、ありがとう。大丈夫だから。
とだけ言って他には何も言いませんでした。
いつしか王様は以前のように街に出かけて国民と触れ合ったり、お城の中を散歩することすらしなくなりました。食事も残すようになり、貧血で倒れてしまうこともありました。しかし王様はいつも
大丈夫、大丈夫だから、何もないから
と言いました。貴族達に連れ出され街に出て国民と話しても儚げな笑みを浮かべて頷くだけになりました。
一方その頃、「或る人」は友達たちと奥さんと楽しく愉快に暮らしていました。毎日毎日どんちゃん騒ぎで、時々隣の国に奥さんと出かけるなどしていました。「或る人」やその周りの人達は「或る人」の家を城と呼び、「或る人」をまるで王様のごとく扱いました。それどころか王様がお城にこもってなかなか出てこないのを良いことに街の端っこにある家を引き払って、奥さんと子どもと国の大通りに面した王様に買ってもらったお屋敷に住みました。「或る人」とその周りの人達はもっとお金が欲しくなりました。そこで次はどうやって引きこもりの王様からお金を巻き上げるか考え始めました。そして、ある方法を思いつき実行したのです。
王様はたとえどんなに引きこもっていてもきちんと会議に出ていました。その年、王国では食べ物があまり取れず、国民は飢えていました。王様は大臣達にお城にある食べ物を少しだけ残して国民に配るように命令しました。しかし、お城に残っている食料はもうお城に住んでいる人、つまり王様の分しか残っていませんでした。他は「或る人」によって全て持ち去られてしまったのです。王様はとりあえず自分の分を全部配るように言いました。大臣の1人が、「或る人」を盗みで捕まえますか?と尋ねると王様は
私が持って行っていいと行ったのだ。「或る人」に罪はない。
と答え、逮捕させませんでした。
もちろん、王様はそんなこと許していません。しかし王様は「或る人」のことを愛していたため、庇ったのです。
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