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第19話にしおりをはさみました!
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第19話
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王様は将軍達を引き連れてお城の門前へとやってきました。王様はお城の中に向かって大声で叫びました。
国王の帰還である、ただちに開門せよ!さもなくば城ごと焼き払う!
しかし中から返事は聞こえません。それどころか人のいる気配もしません。王様は兵士達に命じて門を大砲で破壊させ、入城しました。
王様は辺りを見て不思議に思いました。お城のお庭がやけに綺麗だったのです。落ちているものといえば、市民が投げ入れた酒瓶が10本ほど散らばっているだけだったのです。
そのまま王様はお城の中に入りました。絨毯や壁には確かに血痕や土汚れがついていましたが肝心の遺体は1つもありませんでした。一緒に入った将軍の1人が足跡に気づき、一行が足跡を辿っていくと王様の部屋にたどり着きました。さらに足跡を辿ると、「或る人」が脱出に使った秘密の通路につながりました。将軍の1人が
そういえば「或る人」を尋問した時に秘密の通路使ったと言っておりました。
と王様に報告しました。王様はその場で将軍を叱りつけました。
尋問だと!?貴様は「或る人」に対して尋問をしたのか!いくら職務とはいえ許し難い!
…ところで、一体どんな尋問をしたんだい?まぁなんだっていいけどさ。羨ましいなぁ、私は「或る人」に尋問されたいなぁ…気持ちいいんだろうなぁ…。
周囲の人々が、えっ、と驚くとニヤケていた王様も我に帰り、
とっとにかく!「或る人」はなんと言ってたんだね?
と尋ねました。将軍は、「或る人」が王様の部屋で手帳を見つけたこと、それを見て通路を抜けてきたことを王様に報告しました。王様は
その手帳なんだが…「或る人」は中身をどこまで見たと言ってんだい?
と若干焦りながら訊きました。将軍が、最初の数ページだけだそうです。と答えると
よかった…本当によかった…見られてたらどうしようかと思った…。
で!その手帳は今どこに?
と王様は返しました。将軍は、手帳は今監獄塔で預かっています。と答えました。
王様が、とりあえず進もう、と言い先頭を切っていきました。一行が足跡を辿って辿って進んでいくと、足跡は突き当たりを左に行っていました。王様はそれを見て立ち止まり深くため息をつき、言いました。
もう追っても無駄だ。ここを右に行くと「或る人」が働いていた工房に出るが、左に行くと隣国との国境に出るんだ。もう彼らは戻ってこないだろう。さ、もう戻ろう。
一行は戻る道すがら話しました。なぜ、遺体も持ち去ったのか、と。すると王様は
もしかしたら誰も死んでないかもね。あの血痕、一ヶ所ごとの血の量は大したことなかった。きっと怪我人が多数いるだけだよ。
と言いました。そしてこう続けました。
戻ったら早くみんなで片付けようね。じゃないと「或る人」と私の結婚式がお城でできないからね。
と笑って言いました。みんなに笑みがこぼれました。ちょうど王様の部屋に着きました。一行は王様の方を向いて言いました。
この度はご結婚おめでとうございます、陛下。
と。王様はみんなにありがとうと笑いながら、同時に泣きながら言いました。
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