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秘密の樹にしおりをはさみました!
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秘密の樹
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「おっはよー、爽太」
気だるい声の先にいたのは潤だった
ポケットに手を入れて、のろのろと歩いてくる
それだけでも様になってしまうのは容姿が無駄に良いせいだ
「はよ。…今更だけど潤って意外に真面目だよな」
ちゃらんぽらんしてるくせに、授業をサボることはなく課題もきちんとやってくる
当たり前といえば当たり前なのだが、大学生にもなると代返をする人も少なくないので普段とのギャップもあって違和感を抱く
「そう?まぁ、金出してくれてんのは親なんだしちゃんと行かないと申し訳ないじゃんね?」
潤は中学の時からこういう奴だった
こういう一面もあるから余計に女の子に言い寄られるのだろう
「つかそんな事より、初バイトどうだった?って言うよりも、噂の人との発展は!」
絶対に聞かれると思った。
手にはエアマイクを持って俺の方へ傾けている
朝からテンションが高すぎてむしろ尊敬する位だ
「発展って…そう言うんじゃないから。
ただ普通に話しただけだよ」
そう言うと潤は驚いたように目を丸くして、俺の口元に近づけていた手を静かに下ろした
その様子の意図が分からずに潤を見つめているとゆっくり口を開いた
「いや、発展ってそういう意味で言ったんじゃないんだけど……それに普段なら否定なんか一々しないでしょ」
そう言われて、ハッとする
確かに普段の俺ならそうだったかも知れない
「たまたまだよ」
「そうやってまた否定するところが余計に怪しい……そういう意味で捉える位気になってるの?」
気になっている、と聞かれて答えは直ぐに頭の中に思い浮かぶ
だけどここで頷くのは何かの一線を超えてしまいそうで
そして、それは絶対に超えていけない気がした
「ばーか。ほら、変な事言ってないで移動するよ。」
次の授業がある教室へと足を向ける
まだ来ない潤を不思議に思い後ろを振り返ると困ったように、でも穏やかに微笑んでいた
「ま、俺は爽太が誰とどんな事をしようがずっと友達で居てやるから安心しろ!」
「ふは…っ、何でそんな上からなんだよ」
ふざけたように言われた言葉だったけれど、胸がじんわりと温まった
けれど、この潤とのやりとりで心境の変化に気が付いてしまった
超えてはいけない一線
ふと頭に浮かんだ事が、もうその一線を超えてしまっている事に気が付いてしまった
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