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☆にしおりをはさみました!
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本当は分かってる。前世の僕の親は゛愛してる゛なんて一度だって言わなかった。目の前にいるかあ様は゛親゛だけど、同じじゃない。
「かぁさま……かぁ……さま。ふぇ」
涙がポタポタ溢れて止まらない。側に行きたいのに行けない。
「フィーリィー」
ルーにぃがこっちに来ようとしたのをかあ様が止めた。
「フィちゃん、大丈夫。ここにはお兄ちゃん達がいる。怖くてもフィちゃんの力でここまで来て、フィちゃんなら出来るわ」
かあ様は何もしてない。震え怯え泣かれて、悲しいはずなのに優しい。
ルーにぃとクーにぃと同じ。
「はぁ……はぁ」
息を吐いて、涙でぼやける中、足を踏み出す。大丈夫。兄二人が見守ってくれている。
どれだけ時間が流れたか分からない。でもかあ様達との距離は縮んでる。
怖くてたまらない。途中でピタリと動けなくなった。
「フィちゃん、私は嫌わないわ」
いつか聞いたような言葉。
「覚えてる? フィちゃんが赤ちゃんの時は私が抱っこしていたの。よく泣いていたけど子守唄は泣き止んで聞いてくれたわ」
かあ様がそう言って子守唄を歌い出した。僕をあの悪夢から救い出してくれたのはかあ様だった。
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