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白い肌に真っ赤な血にしおりをはさみました!
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白い肌に真っ赤な血
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黙り込む春を見て、俺はクスッと
小さく微笑んでいた。
「本当……優しいんな。春…
誰に何を吹き込まれた?
もっと簡単に考えなよ。
切り捨てればいい。
いらないものは、捨てればいい。
チームだろうが友達だろうが…恋人でも、ね?」
恋人、
そう言った途端バッと、顔を上げ、
口をパクパクさせ、また気まずそうに視線を反らす春
…あぁ、腹立つ
どんなに揺さぶっても、どんな言葉を言っても
春の中には、いつもあの子がいる。
…脅して、接触するなと言っても、
気まずい雰囲気のはずの今でも
どうあがいても、あの子が春の今の1番なんだ
……厄介な弟だな。
でも、それは今、だけ
「…じゃあ、渡辺真琴くんみたいに、
すればい「真琴のことは、もういいだろ!!」
ガシャンッと派手な音を立てて倒れる
水の入っていないコップ。割れてはないけれど、
カラカラと中の氷が転がる。
珍しく、感情を露わにする春に目が丸くなる。
…やっぱ、そこは触れて欲しくないんだ
「……もう、いい。帰る」
「考えておいてね」
立ち上がり、コートを羽織りながら
キュッと綺麗な唇を噛む春
そんなに噛んだら、血が出てしまう
…あ、でも真っ白な春の肌には
真っ赤な血が合うから、それはそれでいいな
「…8年前のリーは、どこに行ったんだよ。」
ポツリと小さくそう言った春の言葉に、
息が詰まりそうになった
「リーのこと、本当の兄みたいに思ってたのに……」
本当の、兄
その言葉に、無意識に笑みがこぼれる。
嬉しさじゃない
蔑み、哀れみだ。
自分に対しての
「…フフ、はは、あははは!
はーぁ…本当バカだなぁ。」
はぁ、と額についた髪をかきあげる
「え…」
何故笑ってるのか理解できないという表情の春
その綺麗な瞳に、俺は真っ黒な
絵の具を垂らして濁す
「本当の兄なら、真っ白い純粋で無垢な9歳
だったお前のことをぐちゃぐちゃに犯して、
泣かせて、俺だけの世界に閉じ込めたい
なんて思わないんだろうなぁ?」
にやりとほくそ笑む
最低、
春はそう英語で言うと、目を潤ませ、
怒りなのか震えながら、背を向けた
その華奢な肩と背中越しに、ゆっくりとこう言う
「春、君は俺を選ぶよ。」
一度立ち止まり、春はまた歩き出す
…あーあ、可哀想
あんな傷ついた表情をしちゃって、さ。
春は、甘いんだ
優しすぎる。
どこかに18の俺を探しているんだ。
何も知らなかった頃の、俺を。
だから余計に現実を知って、傷ついてる。
そんな俺は、もういないのに。
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