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「あ、そうですか」
「あ、そうって……。気持ち悪くない?」
「別に。ゲイだって選ぶ権利はあるでしょう。あなたが僕に対してそういう目で見てると思うほど、自惚れは強くない」
選ぶ権利。
それまでゲイやホモといった事柄を揶揄する環境の中にいた息吹にとって新鮮な響きだった。
「それに僕はノンケですけど。いいですか?」
「……何が?」
「気持ち悪くないですか?」
なにその優しさ。惚れないけどさ。
また涙が零れそうになって、枝豆を口に放り込む。
そんな息吹の心中なんて知らない男はにこにこと笑っている。
「別に……。ね、あんたさ、新婦さんに失恋したの?」
「そうですよ」
あっさりと肯定されて、なんだか息吹が気恥ずかしくなる。
枝豆はいい。
剥く時間は無心になれる。
無言でも怪しまれない。
沈黙に耐えられなくなったのは息吹だったけど。
「……あんた、何も訊かないんだね」
「話したいことは、訊かなくても話すでしょう」
「まあね」
「ゲイだってことも、僕は聞いてないのにあなたは話した」
「そうだった」
随分と気が緩んでいる自分に呆れた。
「枝豆、おいしいね」
「そうですね」
「ね、あんた飲める?」
「一応」
「じゃあ、飲もう」
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