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「飲めるんですか?」
「たぶん」
二人でメニューを覗き込み、生ビールに落ち着いた。
どうかしてる。
名前も知らない人と、飲み食い、性的嗜好まで暴露して。
でももうこの男との接点もないと思えば、楽になれた。
「じゃあ……改めて、乾杯」
膨れたお腹に、生ビール。
明日は胃もたれ決定だ。
あのさあ、聞いてくれる?
俺ね、別れようって言ったの。俺、子ども産めないし、あいつだって産めない。
だけど子ども好きなの、知ってたからさ。
だからね、別れたの。
結婚して、素敵な家庭、築いてねって。
なのにまさか、奥さんが子ども産めないなんて知らないよ。
だったら俺でもいいじゃん。
俺でも、よかったじゃん。
――なんて、さすがに言えなかった。
息吹と仁史との関係とは違って、これからもこの男は新婦に会うかもしれないのだ。
仁史が男と付き合ってたなんてばれたら困る。
黙って海老串を頬張る男を目の端で捉えると、別れるきっかけとなった水族館デートの日が思い出されて、また涙が溢れた。
「あのさあ。悪いんだけど、もうちょっと泣いてもいい?」
「どうぞ」
声を上げて泣きたかったけど、声は出なかった。
「あんた、ノンケだったよね」
「そうですよ」
「いいね。結婚も子どももできる」
ようやく涙も枯れた頃、目の前で黙々と食べ続ける男に八つ当たり気味に言う。
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