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18歳以上ですか?
6にしおりをはさみました!
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6
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目を見開いた男が面白くて、息吹は笑った。
不意に座敷席が沸いた。
囃し立てる声を拾うと、どうやら罰ゲームで男同士でキスをさせられるらしい。
罰ゲーム。
「ゲイだからってさあ、そんなに罪かなあ」
思ったよりも恨めしさが滲み、口を噤んだ。
「あの罪は、ゲイではありませんよ」
「……ん?」
「好きではない者同士に強要することです」
「はは。正論だ」
「鬱陶しいですか」
「人によってはそうかもね」
「あなたは?」
「俺は面白いと思うよ」
遠くから冷やかすような指笛が聞こえる。
「あんたはどう思うの」
「我ながら鬱陶しいと思いました」
「なるほど。あんたさ。自分の想像で勝手に俺を卑怯者にしないでよ」
よくわからないという顔をしている。ならばもう少し。
「俺は目の前にいて、あんたとは別人なの。俺には俺の意見がある。決めつけるのは失礼だ」
してやったり。
言葉を失ったように、何度か口を開閉する男を見て息吹の口端が上がる。
「……確かに、そうですね」
何もかもを見透かしたような目をした男が僅かに悔しさを含ませた顔は、なかなかにかわいらしかった。
「まあ……話してたらさ、あんたが頭いいっての、わかるよ」
「頭がいいって言うときって大抵、自分が理解できないことを丸め込むときに使いますよね」
「褒め言葉は素直に受け取りなよ。だけど、どんな人間でも、考えてることあるから。正論に傷つくこともある」
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