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7にしおりをはさみました!
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白々しいほどの明るい声は許してほしい。
「仁史……俺がこんなんだから別れたって……別れて正解って……がっかりさせるなって……でもしょうがないじゃん……思うんだからさあ……でも人間としてアウトって……」
由正の表情は読めない。
「俺ね、元彼たちと別れる原因ってね、いっつも子どもなの。俺の子を産めないから身を引くって、みんな言うの……。俺はお前がいいから、まだいない子どもなんかよりもお前といたいって言って縋ってさ……」
喉の奥が熱い。
声が震えそうになって、拳を作った。
「でも仁史は違った。俺、仁史の子、産めないんだって、思って……俺から別れようって、言っちゃったの。ねえ、子どもがいなくても、夫婦になれるのかな」
どうか幸せに。彼らはそう言った。
ならば彼らの思い描く幸せもまた、結婚して子どもを持つことだったのだろうか。
いわゆる一般常識から逃れられず、苦しみながらも捨てられない、幸せの概念。
確かめることはできない。
確かめたとしても、それが何になる。
「……身勝手な人ですね」
「うん……」
由正はしばらく考え込むように目を伏せた。
「結婚も子どもも、ゴールじゃないと僕は思います。選択肢のひとつ」
それはあの日にも聞いた。
しかし今日は少し違うようだった。
「あなたは言いました。想像で卑怯者にするなと。勝手に決めつけるなと」
「うん」
「もしあなたの考えに従うなら、それは決めつけです。誰と一緒になろうが、その人の自由。現にあなたも、元彼が身を引いたって男を選んでるじゃないですか」
言葉を選ぶように、由正の視線がテーブルを彷徨う。
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