アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
-
和海の退院の日が決まった
俺の心は複雑だ
「冬矢?」
「どうした?」
「いきなり高校生になるのは不安で」
「そうか」
「中学も卒業していないのに」
「お前の頭脳なら大丈夫だろ」
「そうでしょうか」
和海の記憶は戻っていなかった
毎日、たわいのない会話ばかりして笑っていた和海
短かった髪も、セミロングになっていた
弟が可愛いと思えてしまう
「翔達は歓迎してくれるでしょうか?」
「どうだろうな」
「昔、みんなで遊んでいたし仲良しでしたよね」
「だな」
「高校生の翔は本当に綺麗になっていました」
今、全てを打ち明けたら信用するのだろうか?
それとも、冗談はやめろと笑い飛ばすのだろうか?
「クスッ、繭は相変わらず小さくて可愛かったですね」
「気にしてるから言うなよ」
「はい」
「卒業したら、本当に留学したいのか?」
「そうですね、色々な国を見てみたいです」
「会社は?」
「それは冬矢にお任せします」
「・・・・・・・・・・」
やはり、何度尋ねても答えは同じだった
だったら、高校には戻さず海外へ・・・
だめだ、そんな事をしたら俺は燕羽を失うだろう
「冬矢?」
「もう遅いから休め」
「はい」
病室を出て、久しぶりに屋敷に向かった
悪趣味な屋敷だ
「冬矢か?お前がここに来るなんて珍しい」
「派手にやられたな」
「可愛い翔にやられたんだ、しょうがない」
相変わらず、こいつは狂ってる
包帯だらけのくせに、笑うとか反吐が出る
「お前、学園を全て翔に?」
「ああ、頼まれたから仕方が無い・・・お前達に残す物は何一つない」
「いらないね」
「翔は本当に美しい・・・和海よりも輝いている」
「お前、何を言って・・・まさか」
「和海は体は綺麗だが声を出さない人形だからな」
こいつ・・・
和海にまで手を出していたのか
「実の息子だぞ」
「だからどうした、くだらない」
和海を狂わせたのはこいつなのか?
俺は何も知らずに・・・何も出来ずに
「お前さ・・・」
「父親にお前呼ばわりか」
「いい加減、この世から消えろ」
「冬矢、何を・・・ぐはっ!」
和海から取り上げたナイフで心臓を貫いていた
ナイフから伝わる生暖かい血
俺も同じ血が流れている
金庫を開け、遺言書を燃やした
別に、今更どうでもいい
こんな老いぼれは生きているだけ無駄だ
「会長、何が・・・・冬矢様?」
「屋敷を燃やして始末しておけ」
「しかし」
「お前も死にたい?」
「・・・・・・・・・」
「それなりの事はしてやるから安心しろ」
「わかりました」
この秘書は俺には従う、だから心配する事は無いだろう
ナイフをしまい、部屋を出た
門を出た瞬間、火柱が上がった
こんな屋敷はもういらない
全て、灰になればいい
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
102 / 169