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「翔、起きてよ!遅刻するよ」
「まだ早いだろ・・・ったく」
燕羽の声で目が覚めた
だけど・・・
「そっか・・・もうお前はいないんだな」
そしてまた、とてつもない怒りと悲しみに襲われる
「翔、起きてる?」
「繭、ああ」
「氷龍が何か食べろって言ってる」
「いらない」
「ダメ!復讐もしてないのにそれでいいの?」
「・・・・・・だな」
重い体を起こし、リビングに向かった
いつもなら俺にまとわりつく燕羽はどこにもいない
お気に入りの場所にも座っていない
「大丈夫か?」
「たぶんね」
甘いミルクだけ無理矢理流し込んだ
何を見ても、燕羽を思い出す
辛くて、悲しくて、どうしようもない
「話は出来るか?」
「うん」
「話を聞く覚悟はあるか?」
覚悟?
「それを聞いたら俺が壊れる様な話かな」
「お前次第だ」
やはり、いい話では無さそうだ
「話して」
「やはり話すより、これを渡しておく」
「これは?」
「冬矢と和海が塔に居たという話が気になって、隠しカメラをつけていたんだ」
「と言う事は、この中に全てが?」
「ああ、すまないが俺はそれを先に確認させてもらった」
「翔、どうする?」
「どうするって、お前何言ってんの?見なければ復讐も出来ないだろ?」
「僕は翔が心配」
「・・・・・・・・・」
「俺はヘリの整備をして来る」
そう言って氷龍は出て行った
そうだね、繭ならもし俺が壊れても止められる
「繭、繋いで」
「うん」
パソコンの画面を二人で見つめた
そして全てを知った
和海に騙されていた事も、冬矢に騙されていた事も燕羽が震えながらあの窓から飛び降りた事も全て
「許さない・・・俺がこの手で殺す」
「フォークに刺されてまで演技を続ける和海は、やはり昔のままの和海だった」
「あいつは、裏でまたウサギを飼っていたんだな」
「うん」
「繭、まだ騙されているふりをしろ」
「わかった」
「まずは、燕羽を呼び出した奴を殺す・・・」
「戻るの?」
「名前は都築と言ってたからすぐに調べろ、そいつの親も親戚も全て幸せにはさせない」
「わかった」
繭はどこかへ電話をかけていた
そしてすぐに電話がかかって来た
「わかったよ、名前は都築雄一、父親は外資系の会社の部長で母親は画廊を経営している」
繭はその後も親戚や兄弟の情報を俺に話した
「父親の会社は?」
「僕が管理している子会社だからいつでもクビに出来る、画廊が入っている場所も僕のビルだからすぐに契約取り消しに出来る、親戚や兄弟の仕事も全て僕が奪う事が出来る」
「そいつを殺してから家族を奈落の底へ突き落せ」
「わかった」
家族や親せきは関係ないだろうと言われようが知った事では無い
愛する人を奪われた気持ちを味わえばいい
そんな息子に育てた事を後悔すればいい
「学園に戻るぞ」
「うん」
「先にヘリポートに行ってろ」
「翔は?」
「俺は・・・俺は燕羽に別れを言って来る」
「わかった」
そう言って灰になった温室に向かい、氷龍に頼んであったレンゲの種を一面に撒いた
「燕羽、ごめんな・・・ずっといてやりたいけど俺の気が済まないからさ・・・すぐに戻って来るよ」
もう泣かないと誓った
だって泣いたら燕羽が心配するしね
「じゃな、燕羽」
これがきっと人生の中で一番辛い事かも知れない
あれ以上の辛さがまだあるとはね
待ってろよ、お前達を絶対に許さない
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