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繭が部屋にやって来た
しかも枕持参かよ
「翔」
「どうした?」
何が聞きたそうなのはわかっていた
「冬矢が死んだ」
「らしいな」
「どうして?」
「知りたいか?」
「うん」
悲しんでる様子はない
もちろん俺もね
「見せてやるよ」
そう言って動画を繭に見せた
「燕羽・・・?」
「違う、よく似ているけどね」
俺だって、燕羽に似ている奴を見るのは辛い
他人だけど、ここまで似ているとさすがにね
「だけど、どうしてこれが冬矢の自殺と?」
動画では瞳までは気付かないか
「和海は角膜を捜していたんだ、冬矢の瞳と同じ色のね」
「うん、でも金色の瞳は海外じゃないと見つからない」
「そうなんだよね、だけど意外な所にあったんだ」
「もしかして動画の人?」
「そう、そして冬矢の恋人」
「えっ?」
「氷龍に探らせていたんだけど、どうやら冬矢は彼を愛していたらしい」
「似ているから?」
「最初はそうだったかもね、でも性格は違うだろうし」
「だったら尚更自殺なんて」
「そこで和海を利用したんだ」
「・・・・・・角膜」
「そっ、和海なら躊躇なくこいつから奪うと思っていたしね」
「うん」
「俺の思っていた通り、彼の角膜は冬矢に移植された、和海の事だからそのまま殺したんだろうね」
「生きていても邪魔なだけ」
「和海はそう言う奴だよな」
「うん」
「で、移植は成功してめでたしめでたし」
「にはならなかった」
「和海が冬矢の瞳の持ち主を教えたんだろうな」
「うん」
「でも、そこまでの関係だとは思わなかった」
「瞳の持ち主を知った冬矢は彼の後を追った」
「戻らない恋人の瞳を見る度に思い出すのが耐えられなかったんだろう」
「でも、葬儀の話は来なかった」
「自殺の事は病院にも口止めをさせたしね」
「本当に、自分さえよければそれでいい所は昔から変わらない」
「吐き気がする」
「でも残念」
「何が?」
「ダンスパーティー」
「練習で散々手は繋いでやったからいいんだよ」
「うん」
「お前が楽しめればそれでいい」
繭はにっこり笑って言った
「僕達、悪魔だね」
「今更だろ?」
冬矢の死など悲しくは無い
昔の思い出は全て忘れた
「翔」
「わかってる、楓には言わない」
「うん」
最初から話すつもりは無かった
楓が憎んでいるのは和海だしね
「学園も静かになる」
「会長はそれがお望みだろ?」
「うさぎは飼育禁止!」
「まぁ、もうそんな元気もないだろうな」
「翔・・・今夜は一緒に寝る」
「しょうがないな、一緒に寝よう」
「うん」
楓は大阪でライブだから寂しいんだろう
「いつ戻るの?」
「明後日」
「そっか・・・何だかこうやって繭と寝るのは久しぶりだな」
「うん、久しぶり」
「昔はよく二人で寝てたよな」
「お互いを護る為」
「だな」
二人で居れば何も怖く無かった子供の頃の俺達
今は昔を懐かしみながら一緒に眠る俺達
「おやすみ」
「相変わらず21時に就寝なんだな」
「翔もおやすみ」
「わかったよ」
隣りで眠る繭の香りは昔のまま
甘いジャスミンティーの香りがする
「寝顔は可愛いのに」
起きている時は大人にしか見えない
体は子供だけどね
昔のように、体を寄せ合い目を閉じた
体温が高いのも昔と同じ
だけど俺達は大人になって行く
いや違うな
俺はこのまま大人にはなれそうにない
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