アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
CAGE6:止まない愛情36にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
CAGE6:止まない愛情36
-
悔しさに噛み締めた唇から血が流れ出た瞬間、忙しなく動いていた手が止まった。
「おやおや、戻ってくるとは思わなかったな。」
興醒めしたような声音は部屋の入口に向けられて、釣られるように視線を流す。
「…美、柴……」
肩で息をする美柴が一人、そこに立っていた。
「見逃してあげたんだ、彼と一緒に仲良くしていれば良かったのに。」
冷たい物言いに美柴は首を横に振る。
「出来ない。彼に必要なのは僕じゃないから。だから洋さんを返してください。」
「返す?洋は元から俺のものだ。そんな事言われる筋合いはない。」
誰がーー、と開きかけた口は手で覆われ塞がれた。
「僕が一生身代わりになります。だから、洋さんを立花さんに返してあげてください。」
「万尋、所詮身代わりは身代わり。そんなもの、もう必要ないんだ。君は用済みなんだよ。分かったら邪魔をせずに何処かへ行くんだ。」
「出来ません。」
一歩一歩近付いてくる美柴が後ろ手に何かを隠していることに気が付いた。
あれは……まさか………。
嫌な予感は美柴の歩みと共に確信へと変わる。
小型のナイフを視界に捉えて、口を塞ぐ手に必死に抵抗を試みた。
「んっ、んん…はっ、美柴、やめろ…!早く逃げ…、ん、んー!!」
「全く悪い子だ……少し大人しくしていなさい。」
すぐに口を塞がれて、目で美柴に訴えかけるものの歩みは止まらない。
「その後ろに隠してるナイフで助けようって?」
「出来れば使いたくありませんが、やむを得ないなら仕方ありません。」
「万尋、お前はもう少し賢い人間だと思っていた。残念だよ。」
どんなに美柴が近付いても、俺の上から男が退くことはない。
すぐ横で足を止めた美柴は、握ったナイフを突き付けた。
「僕は貴方を恨んでいるわけではありません。どんな形であれ、拾い育ててくれたことには感謝していますから。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
266 / 269