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今日も飽きずに揉めてます。2(聖夜side)にしおりをはさみました!
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今日も飽きずに揉めてます。2(聖夜side)
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世界が滅びるのではないかってくらいにテンパっている男子生徒を宥めつつやって来たのは購買だ。
昼休みになるとパン争奪戦が行われる場所。
今日もパンはもう完売してしまったようで、何も入っていないワゴンが寂しい。
個人的にはフルーツサンドがイチオシなのだけど、1番人気はカツサンドだと聞く。やはり成長期の男子ウケだろう。
気まぐれでプリンなんかも売ってくれるので毎日要チェックだ。
そんな生徒の憩いの場は今は騒然としている。
複数の男子生徒が輪になっている。『ふざけんなよ!?』『やっちまおうぜ!』『死ね!クズ!』なんていう汚い言葉も聞こえてくる。
言わずとも分かるだろう、ただ今絶賛喧嘩中のようだ。
喧嘩も成長することに必要なことだと言える。だが、それは1対1の喧嘩のみだ。
多勢に無勢の場合それはイジメと呼ばれるようになってしまう。まぁ、その考え方も間違っていることがあるのだけれど。
今回の場合はどうだろう。輪を作るようにして立っているのが3年生だろう。3年生にもなって何しているんだ、と呆れてしまう。
その3年生と対するように立っているのは、2年生。1人だ。
男子生徒が何故『イジメだ!』と言わずに『喧嘩だ!』と言ったのかは実際にここに来てみれば分かる。
味方がいないはずの2年生が複数の3年生に対して怖がるそぶりを見せるどころか挑発しているからである。
金に近い茶髪で、体も大きくて鍛えられている。学校でも有名な問題児、鈴野創(すずの はじめ)。
制服は着崩していて、ブレザーの下にパーカーなんて着てしまう類だ。まだアクセサリーを学校につけて着ていないだけ良しとしようか。
予想どうりの人物の登場にさらに気だるくなってきた。この場合放っておいても良い気もしなくはないが、まぁよろしくはないので仲裁に向かう。ゆっくりと人を掻き分けて現場に近づいていき、だが創が手を振り上げた瞬間、駆け出していた。
次の瞬間には創の振り下ろした拳によってドッ、という低い音がする。
口の中に広がる鉄の味。どうやら口の中を切ったらしい。
3年生と創の間に立つのは両手を広げた聖夜。現生徒会長の花咲聖夜(はなさか せいや)だ。
数秒の沈黙の後、一斉にあがる悲鳴。女子の甲高い声が耳をキンキンと痛めつける。
だが聖夜は周りの生徒も、痛いというよりも熱い殴られた左頬も無視だ。周りの生徒を構うのは他の生徒会役員の仕事である。そして腫れた頬の手当ては保健室の先生の仕事である。
今は周りのことよりも、自分のことよりも、この状況を把握したい。何故創が手を上げなくてはいけなくなったのか、を知りたいのだ。
否、学校の秩序のために知る必要がある。
3年生と創を交互に見る。怒り狂った顔をした3年生と動揺を隠せない創。
どちらが悪いなんて決める気は無い。何故なら、どちらも悪いのだから。
とりあえずは両方の気持ちを落ち着かせようと何事もなかったかのように、まるで朝友人に挨拶をするかのように話しかける。
『えっと…君、鈴野君だよね?俺のこと知ってる?一応同じクラスなんだけど…花咲聖夜って言います。よろしくね。……それから…3年生の皆さん。そんなに怖い顔をしてどうしたんですか?…お話、聞かせていただけますか?』
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