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今日も飽きずに揉めてます。5(創side)にしおりをはさみました!
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今日も飽きずに揉めてます。5(創side)
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心地よい春の風が髪を揺らし、頬を撫でる。
閉じていた瞼を上げれば視界に広がるのは青い空と白い雲。耳をすませて聞こえてくるのは鳥の歌。
静かで自分1人だけが出入りすることのできるここはお気に入りの場所だ。
気持ちが崩れそうになった時に来るようにしている。
本当は立ち入り禁止の屋上。だが無駄に親切な新人熱血教師が去年、1人になりたい時に使いなさいと屋上の鍵をくれた。
そして今まさに活用させてもらっている。
ちなみにあの熱血教師は今年隣町の高校に変わってしまった。鬱陶しいくらいに気にかけてくれていたので少しさみしい気持ちはあるも、その気持ちも日に日に薄れていっている。それは人間特有のもので、良くも悪くもある現象だ。
慣れているはずだった。
明るい髪をしているのが悪いのか、制服を着崩しているのが悪いのか、それとも元々の目つきの悪さか、言葉遣いか、雰囲気か…多分全部だろう。
昔から勘違いされることは多くて、喧嘩を売られたり、もしくは喧嘩を売られたと勘違いされたり、そんなことは日常茶飯事だった。
もう慣れていると、そう思っていた。
だけどどうしてだろう。あの殴ってしまった黒髪の少年を思い出す。痛かっただろうな。無関係なのに殴られて、怒って当然なのに彼はまるでクラスメイトに朝挨拶をするかのように声をかけてきた。
動揺して逃げて来てしまったけれど今は後悔している。
ちゃんと謝ればよかった、と。
そしてちゃんと事実を自分の口から伝えればよかった。逃げて来てしまったから、3年生たちが自分に都合が良いように嘘を真実として語っているのだろうな。
それが悔しくて、だけど何もできない。
だってこんなチャラけた格好をしている俺は悪だから。厄介者で、できれば関わりたくない人種だ。そんな奴の言うことを信じる人は少ない。
今までの経験では、信じてくれる人は居なかった。
『……情けねぇなぁ……何やってんだ、俺…』
ポツポツと溢れるのは情けない声。か細くて震えていて、これじゃあ本当は弱虫で泣き虫で崩れやすいってバレてしまうではないか。
自分以外誰も他に居ないのに涙を我慢してしまうのは弱い自分を隠しているからだろう。
仰向けに寝転べば嫌味のように天気の良い空を見る羽目になってしまう。だけど涙を流さない方法が他に思いつかなかったのだ。
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