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日常と言う名の特別な日。6(創side)にしおりをはさみました!
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日常と言う名の特別な日。6(創side)
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『鈴野君もうすぐ遠足があることは知ってる?』
『え?……あー、そーいえば去年のこの時期にどっかに行った気がする…』
『どっかに行ったって、はじめんテキトーやなぁ〜。あははっ!今日はその遠足の行き先発表やったんやに〜』
言われてみれば去年何処かに行った、気がする。あまり覚えていない。多分そこまで重要なことだと思っていなかったからだろう。
だが話を聞いて行くうちにどんどん思い出してきた。そう言えばここの学校は少し変わっているんだった。特に去年の生徒会長は俺でも無茶苦茶だと思うような人だった。
遠足の行き先が毎年違って、さらにはその行き先を決めるのが教師ではなく生徒だと言うから驚きだ。それも勉強の一環と言うことなのだろうけれど、それにしても少々放任しすぎているところは否めない。
なんて言うか、ここの学校は教師ではなく生徒、しかも生徒会が仕切っているという印象があるのだ。
ガヤガヤと騒がしい教室だったのだが、教師が入ってこればそれぞれの席へと向かう。よく躾けられている、なんて感想が頭に浮かぶことは性格が歪んでいると言うことだろうか。自分のことながら苦笑してしまう。
担任のアラフォー男が教壇に立って話し始める。どうやら今年はキャンプに行くらしい。しかも、泊まりで。
2年生は毎年泊まりと決まっているのだろうか?去年の2年生が温泉旅行だったことは、変な学校だと感じる第1の出来事だったので覚えている。
周りの生徒を見てみれば少し浮かれている雰囲気があって、キャンプという結果に文句のある者は居なさそうだ。
だけど、それは友達がいるから言えること。
キャンプのグループを組んでくれる人もいなければ、むしろ来るなと思われている俺はどうしろと言うのだろう。こう言う行事は非リアとボッチには辛い。
別に恋人を作ろうと思えばすぐにできる。最近は作っていないけれど、寧ろ今の状態の方が珍しいくらいだ。
しかもどれも向こうから告白してくる。女も男も。
こちらから告白したことは一度もない。さらに言ってしまえば、今まで誰かを好きになったことはない。
手を繋いでデートも、唾液の混ざり合う濃厚なキスも、激しく腰を振り合うセックスも、どれも経験はあるけれど、でも好きだと、愛していると、誰にも渡したくないと思いながらやったことはない。
向こうが求めてきて、断って駄々こねられるのが面倒くさいから相手になっているだけだ。
だから聖夜は初恋だ。
あの純粋そうな顔。見ているだけで幸せな気持ちになってしまう。
それに"鈴野君"と無邪気に呼んでくる姿なんて動画に収めたいくらいだ。できれば"創君"と呼んで欲しいけれど、それは欲張りだろうか。
聖夜と仲の良い4人が羨ましい。俺もあんな風にふざけあったり笑いあったりしたい。聖夜のいろんな表情が見たい。
話しかけてくれるだけでも十分に嬉しいのにそれ以上なんて、やはり欲深いと言うことなんだろうな。
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