アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
歩いて転んでドキドキキャンプ!12(創side)にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
歩いて転んでドキドキキャンプ!12(創side)
-
パチパチと音を立てて燃える木々は黒い灰となり、もくもくと白い煙を立てて赤い火を起こし続けている。
俺たちも適度な距離からその大きな火を見ていた。周りにいる同級生達の殆どがカップルで、男数人で居るということが少し恥ずかしく思えてくるぐらいだ。
自分達の世界に入ってしまって腰に手を回したりキスしたり頭撫でたり、頭ゴツンってくっつけてキャッキャとじゃれていたり。……羨ましい。
俺だって本当なら聖夜とイチャイチャしながら見る予定だったんだ。
2人で赤い火を見ていて、すると疲れたのか眠たげな聖夜。『せーや、眠いかァ?こっちもたれてこいよ』って聖夜の頭を寄せて、するとコテンと聖夜がもたれてきて、流れでそのままキスして。すると少し顔を赤くした聖夜に『ねぇ、2人きりになりたいな…』って誘われて……。
『はじめんどないしたん?めっっっちゃキモい顔し飛んで?』
『うッせーよ!どんだけキモいンだよ!貯めすぎだ!あと、顔は元々だからほっとけッての!』
自分では気づいていなかったが、どうやらだらしない顔をしてしまっていたらしい。遠慮を知らない海に顔を指摘されてしまい、予定では聖夜の顔が赤くなるはずだったのに俺の顔が赤くなってしまったではないか。誰得だ。
右肩に重みを感じてそちらを向く。どうやら若葉が肩にもたれてきたようだ。これが聖夜だったら幸せだったのに、何回見ても若葉だ。この際だから素直に言おう。俺の鼻の下を伸ばすことができるのは聖夜だけだ。あぁ、聖夜。愛しの聖夜。今頃冷たい病院のベットで1人寂しい思いをして居るんだろうな。すぐに駆けつけてやりたい。そしてできることなら、聖夜のことを押し倒したい。
『……はぁ…俺もそろそろ末期だな…』
『えっ、何!?はじめん癌とか!?末期って何!?はじめん死ぬん!?』
『落ち着きなさい、海。末期と言ってもまだ数日は生きることができますよ、多分!創は最後の思い出づくりをしたいんですよ、多分!だからここは病人ではなく友達として接することが正しいんですよ、多分!』
『楓、お前が落ち着きなさい。あと多分多分言いすぎな!心配してもらわなくても、癌でもなければ病気一つねー丈夫すぎる体してッからよー』
癌だ死ぬんだと大騒ぎしている2人に微妙な気持ちになってしまう。心配してくれているということなのだろうけど、それにしてもコイツらはすぐに人を殺そうとする。残念だけど風一つひかない丈夫すぎる体が取り柄なのだ、早々死ぬことはない。
耳元で若葉の吐息を聞いていたらなんだか此方が眠たくなってきてしまった。それにしても綾人遅いな。風呂で転んで怪我でもしていないか心配だ。まぁ聖夜じゃないからそれはないと思うけど。
そんなことを考えていたらちょうど綾人がやって来た。学校指定の赤いジャージを着ている綾人は何処にでもいそうな"平均的"な容姿や雰囲気がある。それはいつものことなのだけど、ジャージを着るとさらに強くそう思えるのだ。
『おまたせ!……って、あれ?若葉ちゃん寝ちゃったの?』
人の肩を枕にしている若葉の顔を覗き込む綾人。バカみたいな顔をして気持ちよさそうに寝ている若葉の頭を叩きたくなる衝動を堪え、大きな火を見つめる。少し曇っているせいで星があまり綺麗に見ることができない空へと向かう黒い灰と白い煙の旅はまだまだ終わりそうにない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
38 / 44