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「お前ってゲイなの?」
「ちょっ!?いやっ…えーっと」
廊下へと足を進めながら何気なく聞いたら、面白いほど茹でダコ状態で身振り手振りテンパられた。
挙動不審すぎる。
「えっと…ち、違うと思う」
「でも俺の事好きなんだろ?」
「あ…わっ…、それは」
なんなんだ。
しどろもどろで口をモゴモゴとさせる真島に目を細める。
俺が好きじゃないならそれはそれでいいが、だったらあの告白はなんだ。
そもそも俺の一言一言にこう毎度アタフタされていたら会話が成り立たない。
女なら許せるが男のこの態度とか、正直苛立ちしか湧かないんだが。
「ご、ごめん。俺緊張しててっ…。でもそのっ、好きになったのは高瀬くんが初めてだから…」
「へー」
やっとのことでそう言った真島の言葉を軽くあしらって、俺は「うめのーん」と手を振ってきた数人の女子にニヘラと笑って手を振り返す。
うめのんとは女子が呼ぶ俺の愛称で、梅乃というどこぞのばーちゃんみたいな俺の下の名前からきている。あ、全国の梅乃さんごめんなさい。
まあどうせ真島と一緒にいるからわざわざ俺の名前呼んできたんだろうが、それでも女子に構われれば嬉しいと思うのは男の性か。
「高瀬くんって、ほんと友達たくさんいるよね」
「そうか?お前に比べれば大したことねーよ」
「えっ、俺全然そんなことないけど…」
いやいや学園のアイドルが何をおっしゃりますか。
謙遜も過ぎれば嫌味ってもんですよ王子。
なんて思うがコイツはわりと真面目に言っているからタチが悪い。
真島と付き合い始めてまだ数日だが、コイツが噂通りの裏表のない爽やかくんだということはよく分かった。
正直その素直な性格が眩しいほどだ。
なんてひねくれたことを考えていたら、さっき俺を呼んだ数人の女子が駆け寄ってきた。
「うめのん、今帰り?これからカラオケ行くんだけど一緒に行かない?」
「おー、いいよ。暇だし」
誘われることは珍しくない。
だが一つ返事で返してから、ああそうか。と思い出す。
こいつら目的は真島か。
「おい、お前も暇だよな?」
「えっ、うん。大丈夫だけど…」
「真島くんも来てくれるの?すごーい!」
きゃあっと女子が途端に色めき出す。
俺と反応が違いすぎるだろ。失礼な奴らめ。
まあでもその真島は俺の事が好きという、非常に残念すぎるイケメンだけどな。
それじゃあ合コンじゃないが人数合わせとして他の男友達も呼ぶことにして、後で駅前のカラオケ店集合という約束を交わした。
スマホで適当な奴に連絡いれながら、駅前へ向けて歩き出す。
女子が来るって言ったら一つ返事で返す俺の友人達。
「すごいね。一言声かけたらみんな集まっちゃうなんて」
「ばーか。女子が来るからに決まってんだろ。まあお前がいたら女子も喜ぶしいいんじゃね」
「えっ…じょ、女子が喜ぶ…って」
あ、いけね。この言い方は無神経だったか。
そういや俺達付き合ってるんだっけ。男同士とか距離感がよくわからん。
そもそも真島とは今までに仲良かったわけでもないし、クラスどころか学科が違う。
普通科の俺に対してコイツは特進科。まあクラス分けしてる程度で教室自体はさほど遠くないが。
そんなわけで、高校二年になる今の今までコイツと会話した記憶すら無い。
なぜコイツが泣くほど俺のことを好きで告白してきたのか、マジでさっぱり分からない。
だがこいつは本気らしく、俺の一挙一動に驚くほどビクついたり顔を赤くしたり、今だっていきなり泣きそうな顔するし。
俺は自分で言うのもなんだが割りと器用に対人関係作れる性格なだけあって、今までに付き合ってきた女の子の数はそこそこいる。が、当然男と付き合うなんてのは初めてだ。
気を抜いて完全にただの男友達として扱っていたが、コイツの望むところはそうじゃない。
「…あー、ほらあれだ。俺もお前と一緒に遊びに行くの初めてだし」
取り繕うようにニカッと笑ってみれば、どこかしょげたような顔がみるみるうちに赤くなる。
分かりやすい奴だな。
だがこうも俺の一挙一動に学園のアイドルである真島が振り回されているのかと思うと、正直コイツには悪いが楽しすぎる。
キャーキャー言ってる女子共も、前の俺と同様に嫉妬していた男共にまで妙な優越感がわいてくるというか。
なんて俺がこんな考えを持って付き合っているなんて知ったら、コイツはさすがに俺のことを嫌いになるんだろうか。
だが今目の前のコイツは赤い顔のまま、惚けたように俺を見つめていた。
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