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3話(1/10)にしおりをはさみました!
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3話(1/10)
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そこはまるで映画や小説の中で描かれるような豪華な屋敷だった。
千尋の住む家は借家なので、これが家だと言われても全くピンとこない。
そしてこれからこの屋敷に自分が住む事になった事にも未だにピンとこない。
与えられた部屋に荷物も片付け終わり、今は共有スペースである部屋でようやく肩の力を抜いていた。
「片付けは終わった?」
「まぁ……そんなに荷物もないんで」
「え?もしかして荷物入り切らなかったとか?部屋狭かったかなー」
「狭くもないし荷物もきちんと全部部屋に納まってます」
そう?と不安そうに首を傾げるのは、この屋敷の所有者であり千尋に取って嫌な記憶しかない男。
叶慶一。
初対面の、それも同じ男に性器を咥えられた衝撃的な出来事は記憶に新しい。
その直後に病気を治したいかと問われ、よく考えもせず頷いた結果が現在である。
「ここからなら学校も近いし、近くに商店街なんかもあるから色々便利だよ」
「……でも、本当に良かったんですか?」
「なにが?」
「その、高校とかここの事とか」
「あー……それは全然気にしないでいいから安心していいよ」
笑顔で言われてもそれを気にしないでいられるほど心は大きくない。
間違いなく千尋は高校に落ちた。
だが、部屋には既に高校の制服が袖を通されるのを待っている。
慶一の話によれば理事長が血縁者らしく、事情を話した結果、特別に入学する事が許された。
しかし千尋が受験した理由は奨学金が目当てだったので、ただ入学が出来るようになっても意味がない。
そうと知ると慶一はそれが当たり前のように学費やおまけに寮の事まで全て自分が責任を持つ、何から何まで負担すると言ったのだ。
有り難い話だが、いくらなんでも赤の他人にする事にしては大分次元が違う。
「今後の為にも俺の近くにいる方が楽だし、学校だって元々受験した所で行きたかった場所でもあるんだから。……それに俺、金もあるしね」
だから大丈夫と微笑む金持ちに若干殺意が沸いたのは、許されるだろうか。
しかし…、あの20畳以上もある部屋を狭いと口にするなんて金持ちは分からない。
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