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18歳以上ですか?
⑥にしおりをはさみました!
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⑥
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「伝えていいのか分からない事は、ある」
「僕が聞いてもいいこと?」
「あぁ。俺さ、元の世界に帰りたいんだ」
「え?」
「向こうに母さんや大切な人がいる。だから、戻りたい」
この世界に来た時、俺にはそれしかなかった。いや、今でもそれは最優先事項だ。そこはどんな事があっても変わらねぇ。
「トール兄さんは、ご主人様の事、嫌いなの? 離れたいの?」
「嫌いじゃない。俺はあいつが好きだ」
今日やっと気付いた俺の本心を口にする。化け物と罵っておきながら、いつの間にかあいつの隣にいるのが当たり前になって、この世界で1番心地よい場所になってたんだ。きっとこの気持ちも、変わることは無い。
あいつのそばに居たい。けど、母さん達の元に戻りたい。矛盾だらけの思考に、頭が痛くなりそうだ。
「なら、ご主人様に1度言ってみたらどう?」
「3ヶ月も姿を消していた死んだかもわからない人間を探すほどだぜ。きっと、拘束をさらに強められる」
「もしかしたら、違うかもしれないよ」
「……」
「言葉は伝わらないけど、一生懸命伝えようとすれば、気持ちは伝わると僕は思うよ」
「そう、か?」
「うん。……僕の場合、一生懸命伝えてはいるけど、伝わってるか分からないのが、不安でしょうがないけど」
苦笑するレオに、俺は1度目を閉じる。文字を教えないのはレオの為になると思ってた。けど、それは違った。
俺はただ単に、怖かっただけだ。人がちっぽけだと分かってしまったからこそ、レオの本心を見ずに知らない方が安全だと決めつけて。
……本当に、俺は馬鹿だ。
「……レオ」
「なに?」
「お前は、本当にレオンと言葉を交わしたいか?」
「うん」
「それが、危険に繋がるとしてもか?」
俺の質問に、レオは少し目を見開いた後、強く頷いてくれた。
「うん。たとえ危険になっても、気持ちが伝わらないまま死ぬほうが嫌だ」
そうか。なら、俺はレオに出来ることする。
「レオ、約束してくれ。今から教える事は、リオン以外、絶対に使わないって」
「え?」
ベットから起き上がる。俺が向かったのは、机。
「俺の秘密、教えてやるよ」
笑みを浮かべ、俺はペンを取ったのだった。
ーーー
100ページ更新しました!
まさか、ここまで続くとは思ってもみなかったです。これも皆様の暖かい応援のおかげです!
本当にありがとうございます!
これからも、俺と人外の愉快な日常をよろしくお願いします(*`・ω・´)
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