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18歳以上ですか?
29にしおりをはさみました!
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29
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コーヒーのほろ苦い香り
竜一が……太一を…?
もしかして、僕のため?
…なんて、…まさか、…ね
「……姫?」
モルは心配そうに僕の顔を覗き込んだ
「変な事聞きますけど…
姫は、愛沢さんの女なんスか?」
「……」
「あ、すいません…」
そう言って肩をすくめ、モルはチラッとこちらを伺いながらコーヒーを飲んだ……
「あの人、人当たり良くて一見いい人なんスけど
何考えてるかわかんねートコあるし…
…あンま、深入りしない方がイイっスよ」
「………」
「ってか、俺らの世界に深入りしない方がイイっス」
モルの言葉が
僕にあまり入ってこない
凌は軽くて何考えてるかわからない所は確かにある
けど……
"俺にどうして欲しい?"
"何が望み?"
海辺での事を思い出す
凌がいなかったら僕は
まだハルオの束縛に耐える毎日だった……
「愛沢さん、危険ッスから
気を付けてください、姫」
少し強めに、でも押し付ける事なくモルが言う
コーヒーを最後まで飲み干すと、モルは再び真剣に言った
「姫だけでも幸せになって下さい
俺、姫だけが希望なんで……」
そう言った後、辺りをキョロキョロと見回し、何も告げずに去っていった
何となく、学校へ来てしまった
体育館から、部活に勤しんでる声が聞こえる
一方で校舎内はとても静かだった
実験室のドアを開ける
やはりガランとしていて、静かだ
生徒のいない校内
誰もいない教室
ろくに学校なんか来ない癖に
何だか新鮮だな、なんて思ったりした
その時黒板横にある扉の奥で、ガタンッという音がした
その物音に驚き、僕はそっと扉を開けてみた
「……あ」
そこには、白衣を着た化学教師がいた
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