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気だるげにしおりをはさみました!
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気だるげ
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楽side
トイレを済ませた俺は、ハンカチを咥えて手を洗う。
『そういえば尼野くん、俺のこと犬って言ってたけど、犬好きなのかな・・・?』
近所の犬猫じっと見てる事あるしなぁ、動物が好きなのかもしれない。
戻ったら動物の話でもしてみよう。
そう思いながら、なんとなしに入ってきた人を見る。
「は?え・・・待っ」
俺は思わず、声を発して立ち止まった。
通りがかった人は、不思議そうに俺を一度見て、それから手洗い場の端にいた帽子の男にバッグを手渡す。
『・・・・・あの、キーホルダー』
バッグからこぼれ出ているキーホルダー、それに見覚えがあったのは・・・虐待されている中、気を逸らすために見ていたからで。
そのキーホルダーは、父親がオーダーメイドで作った、父親しか持たない物のはず・・・で。
混乱する中、バッグを持ってトイレを出ていく人物が横を通り過ぎる。
俺は固まったまま、バッグを手渡した人物と目が会う。
「あ、の」
思わずまた声を掛けてしまい、俺は焦る。
話しかけたところでどうなる、あの大きなバッグに父親の死体が入っていたとして・・・・。
「さっきのバッグ、何が・・・入って・・」
俺は混乱したまま、男に尋ねる。
「バッグ?あれにはただの旅行の荷物が入っているだけですよ、彼が忘れていったものを持ってきただけです・・・じゃあ僕はこれで」
気だるげな男は、胡散臭い笑みを浮かべてそういうと、そっと俺の手に紙を手渡して去る。
俺はそれ以上、男に何も言えずに立ち止まったまま、折りたたまれた紙を開いて見る。
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