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18歳以上ですか?
(210)にしおりをはさみました!
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(210)
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自分が願っていた通りになったはずなのに涙が止まらない
ただ流れ続ける涙をそのままに放心しているとずっと開こうともしなかった扉が開いた
そこには小さくて可愛いけれど意地の悪そうな顔をした男の人がいた
「全部聞いちゃった」
そう言ってニヤリと片方だけの口角を上げた
ネクタイを見る限り同じ学年の生徒だろうけど、僕は見た事がない
「まさかあんたと律様が付き合ってたとはね
それで?あんたは浮気して他に好きな人ができて別れたくせにどうしてそんなにボロ泣きしてるの?
当ててあげよっか?実はまだ律様のこと好きなんでしょう?
でも海様のことを思って、身を引いて
自分のこと悲劇のヒロインだとでも思ってんの?」
聞きたくない、もう、なんでもいい、今は何も考えたくない
「なんか言えば?」
「もう、なんでもいい
殴るなり、なんなり、しなよ
僕をこんなとこに閉じ込めるくらい、僕が君の気に触ることしたんでしょう?」
「…そういうのが腹立つって言ってんの
あんたがそんなじゃなくてもっとシャキッとしてたら、柳野迅だってあんたを気にかけるようなこともせず、柳野迅があんたを気にするせいで知恵様が気に病むようなこともなかった」
「知恵様…って、副会長?てことは、君は副会長の親衛隊…?」
「そうだよ、飛鳥一、一応同じクラスなんだけどね
今日の朝も派手にやられてたね、本当いい気味
僕がさっきのこと全部広めたら、明日からもっと酷くなるのかなあ
楽しみで仕方ないね」
「もう、勝手にしてって言ってるだろ!」
大きな声をだすと、飛鳥くんは少し怯んだのか黙った
その時にまた足音が聞こえた
「なにか声が聞こえましたが、こんなところで何をしているのですか?」
「ち、知恵様!柳野迅まで…」
飛鳥くんは顔を青くして慌てて振り返った
僕は座り込んだままその視線の先を追う
「羽根田くん…これは制裁ですか?
あなたは2年B組の飛鳥くんですよね?私の親衛隊である」
「どうして名前…知ってくれてたんですか…」
「自分の隊員の名前くらい覚えていますよ
それより、制裁はいかなる場合でも禁止としていたはずですが?」
「そ、そんなんじゃありません!
同じクラスのよしみで話していただけです!なあ羽根田!」
「あ…うん…」
「ほらこう言ってるじゃないですか、それでは僕はこれくらいで、失礼致します」
飛鳥くんは逃げるように帰っていった
一体なんだったんだ…
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