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文化発表会当日11にしおりをはさみました!
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文化発表会当日11
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心地よかったんだ。
もし相手が僕の病気を知らない人ならもう少し続けていたのかもしれない。
優「…やっぱり惜しいな」
誠「優?」
優「ねぇ,助けてあげようか」
遥「え?」
いつものように胡散臭い笑を浮かべ僕に手を差し出した。思わず目を見開く。
それは僕だけとは限らず四宮先輩も西井先輩も。唯一笑っているのは清水先輩だけ。
誠「おい,なんのつもりだよ」
優「なんのつもり?ふっそんなの決まってるでしょ?僕は退屈が1番嫌いなの。この子の周りは退屈しない…むしろ楽しいからね」
冷静に考えてみれば確かに柿原先輩の家系を考えるとお金の方面も医者も問題はないのだと思う。
暇つぶし…かな。
きっと柿原先輩と清水先輩は一見似てないが根本的な所は似ていると思う。
多分清水先輩も同じことを考えている。
優「君には悪くない話だと思うんだけどな…どう?」
その目は心底面白そうに笑っていた。
そして何かを探るような…背中がゾッとする。
まぁ確かに魅力的だと思う。
けど僕の答えは何を言われても決まっている。
遥「ふふ,お気持ちだけ貰っておきます。そろそろ生徒会の方々は体育館にお戻りになられた方がいいんじゃないですか?」
あからさまに話題を逸らす。
綺麗に線を引くように…これ以上は関わるなと。
秋「なんで~?いいと思ったんだけどな~」
遥「…僕は甘いものが好きです。
小さい頃に人からもらう飴の甘さを知りました。その人達のことが好きになりました。…けれど当たり前だった日常は非日常に変わりました。
それから人から飴は貰わないようにしてるんです」
秋「なんで?」
遥「ふふ,だって執着した相手がずっと自分のそばを離れないとは限らない…。そんな不確かなことを信じてしまったら怖いじゃないですか」
今も目をつぶれば思い出せる赤く染まった2人の姿。
そして思い出してしまった捨てられた時のこと。まだ暖かかったんだ…。事切れて動かなくなっててもまだいつものような温かさだったんだ。
自分だけ助かってしまった時どれほど悔やんだことだろうか…。どれほど惨めだっただろうか。
"飴なんて貰わなければ良かった"
そう心の中でずっと思っていた。失うくらいなら誰に
も執着もしない,約束なんて信じない。
家族ができた時,シンは言った。
鈴谷夫妻にはなれないけど,鈴谷夫妻にのように脆くもないと…。
でも不安は尽きない。
一緒にいる年月を重ねれば重ねるほど怖くなった。
病気と聞かされた時どこかで安心していた。
"今度は置いていかれる側じゃない"って。
"置いていく側なんだ"って…。
遥「僕はもう壊れてる。普通ならきっと飛びつくほど美味しい話なんだと思います。死ぬことを知らされた時どこかで安堵した。"置いていかれる側"じゃあないことを…」
もう"置いていかれる側"はうんざりだ。
みんなには悪いと思っているけど僕は生にしがみつくほど生きたい理由が思いつかないんだ…。
遥「では,失礼します。あっこのタオルケットまた今度返しますね?」
ドアの位置でニッコリと笑って前を向いた。
歩きだそうとした足を止めほんの少しだけ素直に考える。…もし少しだけ本音を言っていいのなら…。
遥「少し本音を言っちゃえば…過去のことを知ってほんのちょっとだけ……」
そこで後ろを振り返って笑ってみせる。
きっと上手く笑えていないと思う。けど強がりぐらい僕だってしたい
遥「死にたくない…って初めて思いました」
そうして今度こそ図書室を後にした。
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noside
遥が出ていった図書室には静けさだけが残されていた。差し出した手を取らずにそのまま横切られた優は差し出した手を握りしめ僅かに口角を上げた。
秋「すーちゃん悪い顔してるよ~」
優「そんなことないよ?ただやっぱり面白いなって思ったよ…。予想とは全然違う答えをくれたからね」
呆れたようにため息をつく誠と零。
誠「お前らな…マジで何やってんだよ」
零「森山は年下…それに出てく時,年相応の顔をしてた…。多分アレ嘘偽りない」
優「あぁ…確かに最後の笑顔だけは素だったね。ずっと素でいればいいのに」
秋「人に甘えるのが不器用なんだよ…ほんと似てるよね~あの2人とさ」
少ししてから秋たちも体育館へと戻った。
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