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渓谷の仙人③にしおりをはさみました!
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渓谷の仙人③
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急に、訪ねてきた幼馴染は
空元気だってわかるくらい明るく振る舞って、
何事もなかったかのように帰っていった
彼をアパルトマンの下まで送り、
タクシーに乗ったのを見送ってから部屋に帰った
食器の洗い物をしながら、
おかえりと小さく呟いたシュン
目が合ったような合ってないような
一瞬を追いかけて、彼を見る
そういえば…さっき、ゼンが何か言いかけてた
「……ねぇ、シュン今日の「ドニーのことだろ」
カチャン、と水切り場に置かれたスプーン達
さすが…シュンだ。
観察力が鋭い
……ドニーことドナテーニ=サンティーニ
イタリア代表チームだったサンティーニ
三兄弟の末っ子君は癖っ毛のオレンジ色の髪に
屈託のない純粋な心を持った子。
彼とゼンはどういうわけか趣味の
映画鑑賞も読書も、共通していて
打ち解けるのに時間はかからなかった
皮肉屋で冷笑のゼンだけど、彼の前では
その皮肉も冷笑も通じない可憐に笑われて
タジタジなゼンは新鮮だった
ドニーは卒業後、大手コーヒーチェーン企業に
就職したって聞いてる。彼は元々コーヒーの
ことを学ぶ為にに勉強してたらしいから
数々の資格も持ってるってゼンが言ってた
彼らは良き友人同士だ。
そう、友人、同士
だと…思ってたんだけど、
「きっと、ゼンは…ドニーのことを大切に思ってる」
最後のカップを置いて、
水を切りながら俺を見たシュン
「それは友人を思う気持ち以上なものも
含まれているんじゃないかな」
だから…その事を話しにきたんだと思う
「…お前がゼンの幼馴染で、
ゼンを大事に思ってるのはわかる」
だとしても、
シュンはそう言葉を続けて、厳しく俺を見た
「大切に思ってるなら…無駄な詮索は
するなよ?それがゼンのためだ。こういうのは
第三者が、勝手に動いたり口出ししたら
ダメなんだよ。お前が1番わかるだろ?」
まるで幼い子を諭すような口振りだけど、
シュンの言うことはごもっともだった
そう、そうなんだけど……
「……わかったよ」
俺がそう言うと、シュンは
小さく笑ってる「good boy」と流れるように言った
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