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53にしおりをはさみました!
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53
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次の日。俺は久しぶりにショウマと会っていたあの場所へと向かった。
叔父様とのことがあってから、部屋から解放させてもらえた。まあ、外出できる数は決まっていたけど。
それでも、俺はその外出を全てショウマへの時間へ費やした。
ショウマ……まだ、居たりするのかな……
もう何日も行っていなかった。だから、ショウマが来なくても、俺は別に気にしない。だって、普通はもう来ないから。
そして、その場所に着いた途端、俺は全身が一瞬で冷やされたかのような寒さを感じた。
やっぱ、いない……か……。そうだよな……。
「っ!?」
へ……?
ギュッと誰かに後ろから抱きしめられていた。そして、フワッと香った花の匂い。その後に鼻をかすめるのは、俺が今すぐ会いたい人の匂いで。
「っ……」
目から涙が零れ落ちた。すると、俺に抱き着いている人物は肩に頭を埋めた。
「……会いたかったっ…」
少し、抱き締めるのが強くなる。そんな小さなことで、俺の心臓はドクンと跳ね上がる。
「……っ、俺も……会いたかった……ショウマっ…」
思った以上に小さな声だった。自分でも驚いた。ショウマに会えないことは、この数日で慣れたと思っていたのに、そんなことは全くなくてむしろもう離れたくないとさえ思っていた。
ショウマの手に自分の手を重ねて、ショウマのぬくもりを全身で感じる。すると、ショウマの心臓の音が背中から聞こえてきて、今俺と同じ気持ちなんだと思うと、嬉しかった。心から幸せだと思った。
「なんで、今まで来なかったのか、聞いてもいいか……?」
俺の肩に頭を埋められ、聞こえてくる声は俺の耳を刺激して、背中がゾクゾクッとした。
「……今まで……部屋に、閉じ込められてた、から……」
ごめん、と最後に謝る。
「そうだったのか……」
病気かと思って心配してた、と言って俺に身体を預けるようにのしかかってくる。
少し重いと思いながらも、その重さが心を暖かくして頬をふにゃっと緩ませた。
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