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58
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「やあやあ〜アーサー久しいねぇ〜」
「?」
「ふふっ、かぁわぃ。まあ、いいけどねぇ〜」
アーサーが覚えていないことは想定内だったらしい。
ニコニコとしたまま部屋に入るクラシア。
ベッドを覗き込んでふんふん、と頷く。
「この子、いつから寝てるの〜」
「7日前からです」
「もう大丈夫だよぉ〜、この子、あと10日もしたら動き回るよぉ2本足でぇ〜あはっ」
「…この7日間、食事もしなかったが…
クラシア、この子の健康に問題はないのか?」
「知恵熱とぉ〜先天的なものだろ〜ねぇ…問題は〜今はないねぇ〜あぁでもぉ、、、
この子、こっちの子よりデリケートだよぉ」
初めて見ただけで性格を見抜いたと言うのだろうか。
観察眼は流石といえる。
「確かにエルディオ様は大人しく、繊細だと思います」
「レミル〜それだけじゃなあいの〜
この子は生まれつき体が弱いって言ってんの〜別にね〜
生きるのに支障が出るっては言ってないよ〜でも、そ〜ゆ〜子なの、覚えといて〜」
「…そうなのですか…」
「心得た。クラシア、この子は何もせずとも回復するのか」
フィオリが問えば、クラシアは口を開いた。
「ほんとぉ、なんで俺呼ばれたのぉ〜?
治した後にぃ、呼ばないで〜あはっ、俺今戦争中だよぉ?忙しいのにぃ〜」
「治した?…いや…そうか。多忙な時に済まない。
だが戦争は嘘だろう」
「あは、バレたぁ?でも、お前らのパーティーは行けないかもぉ〜そろそろ始めるつもりだしぃ」
争い事を好むクラシアに呆れてため息を溢す2人。クラシアは頭に巻いた、文様の入ったターバンをグッと掴んで上へ上げ、長めの前髪をどかす。
浅部の海のように透き通った青の瞳は、メラメラと戦いに燃えている。綺麗な顔が台無しだ。よく戦争を仕掛けては領土を得ずに楽しんでいるような男。今彼が着ている民族衣装は最古の最強部隊、ジャシャンダ族の模様だ。
その一族の領主や仲間になれば着用できるが、勝手に争いをふっかけて魔術や武力で制圧して遊んでいるだけかもしれないため、仲間かさえも怪しい。力でねじ伏せた、それが正しいだろう。
「こっちの子も〜異常はないよぉ〜
…2人とも治癒魔法がかかってるから。この子ぉ、良くなったのかもねぇ〜」
医師として有能なのが勿体ない男だ。耳や首にはジャラジャラと宝石を身につけている割には患者に触れる手や腕には何も付けないようにしているのだ。戦争では率先して武器を振り回す乱暴な腕でもあるのだが。
人を救い、時には痛ぶるような、理解し難い男だ。
その時、コンコン、と扉を叩く音が。サランがお茶を用意したのだろう。
「入れ」
「失礼します。…お初目にかかります。サランです。
我が子を診察していただき感謝いたします。どうぞ、お茶とお菓子をお召し上がりください」
会釈して入ってきたサランは、クラシアに向かって深く頭を下げた。
「はあい」
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