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赤との邂逅 3にしおりをはさみました!
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赤との邂逅 3
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駅までリツにピッタリとついて来られて、辟易してると、ロータリーに止めてある車から、軽くクラクションを鳴らされた。
振り返ると、その音を出した車からロウが降りて来て、まっすぐに僕を見つめる。僕も無言でロウを見つめ返した。
ロウがなぜここにいるのかを察したらしいリツが、羨ましそうに僕を見る。
「あっ、いいなぁ。ルカ、車で帰んの?」
僕はリツに見向きもしないで、「早く帰ったら?」と吐き捨てて、ロウの車に向かった。
そんな僕の態度にも懲りずに後ろから、「ルカっ、また明日な!」とリツが明るく言って、走り去る足音が聞こえる。ゆっくりと振り向いた僕は、遠ざかっていくリツの背中を、ロウに名前を呼ばれるまで見ていた。
「彼は、ルカ様の前の席にいた生徒ですね」
ロウが、バックミラーに映る僕をチラリと見て話し出す。
「そうだね。赤築 リツって言うんだって。一年の時は、人狼族の者が同じクラスにいなかったから、今年はびっくりしたよ。別に同じクラスにいてもいいんだけど、あいつ、僕に馴れ馴れしい。はっきり言って邪魔だ」
「そうですか。俺も、彼は気に食わないですね。ルカ様に近寄り過ぎだ。何か不審を感じたらすぐに言ってください。俺が排除します」
バックミラーの中のロウと目が合って、すぐに視線を逸らす。僕は小さく溜め息を吐いて、窓の外に顔を向けた。
「いいよ…。揉め事は起こしたくない。それに、あんな奴、自分で何とか出来る。それよりロウ、なんで僕の担任なの?」
「さあ…。どのクラスを受け持つかは、俺が決めた訳ではないですから」
「ふ〜ん…。目立つことはしないでね」
「そのつもりではいます。だけど、ルカ様に危険が迫った時は、なりふり構いませんよ」
僕に対するロウの過保護ぶりに、まだ言いたいことがあったけど、ロウは意外に弁がたつから、いつも言いくるめられてしまう。
僕はもう一度小さく息を吐くと、座席に深くもたれて目を閉じた。
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