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「ほぉー。ふーん。へぇ。ほぉー。」
ぽりぽりとクッキーを齧(かじ)りながら、麗(うらら)が唸った。
「じゃあよ、じゃあよ、つまり、お兄ちゃんが先に好きになって、猛アタックして、めでたく付き合うことになったわけね?」
「一目惚れなんだから、しょうがない。」
「そんなに美人なの?」
「そーだなぁ、線の細い綺麗な人だ。」
じとっとした目で見られた。
「・・・女の格好してたわけ?」
「いんや、どっからどーみても、男。」
ほぉー。ふーん。へぇ。ほぉー。
「言っとくけど、気の迷いじゃないからな。」
「どれくらい好きなわけ?」
「一生添い遂げようと思うくらい。」
ほぉー。ふーん。へぇ。ほぉー。
「意外だわ。」
「何が?」
「んー、モテまくる兄は女の方から寄ってくるから、そのうちの誰かといつか結婚するんだろうなぁと思ってた。けど、けどね、もしかすると、結婚せずに一生過ごすのかもっていう気もしてた。」
「なんで?」
「あんまり信用してないでしょ、寄ってくる女の人。」
「・・・あー。さすが妹だな。」
よく見ている。
「で、本気で好きになって追いかけた人が男の人だった。ゲイじゃないでしょ?」
「だな。小夜だから好きになっただけだよ。」
「ほぉー。さやさんて言うんだ?」
「そ。小さな夜で小夜。名前まで綺麗だろ?」
「おのろけーっ!」
仰け反って、叫んだ。
「まぁ、お兄ちゃんが好きになった人だから良い人なんだろうけど、会わせてよー!」
「そのうちな。」
「ヤダ。きんっきんに近いうち!私の義兄(おにい)さんになる人でしょ?」
齧りかけのクッキーを振り回しながら、可愛い事を言ってくれた麗に笑顔を向けた。
「認めてくれるんだ?」
「そりゃそうよ。一生結婚しない人生かもしれないけど、孤独なままか、パートナーが居て笑っていられるかって、全然違うじゃん。お兄ちゃんは生涯孤独なままかと心配してたから、逆にホッとしたっ!」
胸を張って言われた。
その様子に、抱っこしていた雪へ微笑むことで感謝を示した。
「雪ー、お前の母ちゃんは優しいなぁ。」
「あったりまえでしょ!お兄ちゃんの妹だよ?」
心が満たされていく。
「さすが俺の、可愛い妹だ。」
誇らしげに胸を張る妹は、俺たちの強い味方になってくれた。
「私の予測では、母さんはオッケーよ。私と同じで生涯独身かもって思ってる人だから。でもね、父さんが分かんないよね。」
「なるようになるさ。孫は、雪がいるし?反対されたとしても、小夜とは別れないしね。」
「ほぉー、全然、今までのカノジョとはお熱の入れ具合が違うじゃん!」
「言ったろ?本気なんだって。」
「ひー!ごちそーさま!」
ふたりで笑い合う。
「でもお兄ちゃん、恋が実ってよかったね。オメデト。」
「アリガト。」
妹と共有した秘密。いずれ親にも話すが、まずは第一歩だ。
そして、俺は小夜との生活が安定したものになるように、日々努力しないといけない。
今頃、家具は着いただろうか。
俺のマンションで待つ小夜に心は飛んでいた。
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