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末裔~気高いルーツにしおりをはさみました!
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末裔~気高いルーツ
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「先日、マルセルがディディエ・メンディーの末裔、と判明。ムッシュ・ベルナールが強力な伝手を使って、メンディー一族の周辺などをくまなく調べていたそうだ」
ダヴィッドの話によると、ニコラ・ベルナールはカトリック系の名門リセを主席卒業。その後、パリ大学法学部法律学科首席入学・首席卒業を果たしている。在学中に司法試験に史上最年少で合格。
法律事務所で弁護士業の傍ら、考古学者としても名をはせている。
マルセルは瑠衣と同じ一人っ子、だという。
祖父はレオナール・メンディー。ジャン=ジャック・アングラードの弟子の一人で、コンコルドの名誉パティシエ・ショコラティエでパリ11区「バスティーユ」の初代オーナーシェフ。
引退しているとはいえ、今も趣味程度で菓子を作っているほど、元気そのもの。
レオナールの妻ベアトリスも元パティシエールである。
マルセルの父アルベールは「バスティーユ」の二代目オーナーシェフ。
ダヴィッドは徐に、一枚の写真をテーブルに出していた。
フランス革命時代のディディエ・メンディーの肖像画だ。
ジュストコール、クラヴァット姿のいでたち。エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランによって描かれている複製。
「・・・面影がそのままマルセルに受け継がれている・・・気高さはきっと、あのディディエ・メンディーと同じようだろうね・・・」
マルセルはディディエの生き写しそのものだ、と瑠衣は確信した。
話題が尽きない。ルーツが長いから、話はかなり長くなるのは必至。
しかし、瑠衣は疲れている。なんとかして、その日はお開きにして自分の部屋に戻りたい。
「明日、僕、とっても早いんだ・・・」
瑠衣は思いっきり、出鱈目を言う。シフトの作成はロベールだから権限はダヴィッドにあるわけがない。
ダヴィッドはそこまで、瑠衣のシフトはアバウトに知っている程度だろう。
「Ah bon(ふ~ん)」
ダヴィッドはどうやら、嘘をしっかりと見抜いている。
「明日から週明けまで休みだろう?なら、付き合え」
ったく・・・強引なんだから・・・と瑠衣はやれやれ気分。
ダヴィッドはカードを店員に掲示。生前のジャン=ジャック、ディミトリはブラックカードを所有するほど、有り余るほどの財力がある。
「あいたたた・・・・ダヴィッド。もう少し、腕力を緩めてよ・・・」
腕力一つで瑠衣を部屋に連れ込む。なんとか、振りほどこうと必死で抗おうと試みる。
ダヴィッドが目を離した隙を見て、瑠衣はダヴィッドから逃れた。
「ごめん、ダヴィッド。僕、どうしてもだるいんだ・・・」
部屋に戻った後、すぐ、瑠衣はダヴィッドにLINEを送信。
翌日、瑠衣は二日酔い。
「あいたたた・・・頭がガンガンする・・・ダヴィッドはアルコールが強すぎるよ・・・しかも、胸やけするし・・・」
シャワーを浴びた後、瑠衣の携帯が鳴っている。
「気分はどうだ?」
「だいぶいいよ。今、シャワーを浴びていたんだ・・・マルセルのルーツとアングラード家のルーツを聞かせてほしいんだけど・・・」
長い話になる。それでも、瑠衣にとっては気になることだ。
「ベルナールさんと面会できないのだろうか・・・?」
「NON!」
デリケートな問題がかかわっているのだろうか?
瑠衣は所詮、庶民にすぎない。私的なことは持ち出すのはご法度。
「後日、俺がマルセルのルーツを教える。直接、ベルナールさんとの面会は絶対にするな。マルセルにも直接問いただすのも論外だ」
どうせ、ダヴィッドのことだ。
運動がてら、カロリー消費もかねて、瑠衣を抱くに違いない。
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