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始まり10にしおりをはさみました!
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始まり10
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家の前まで送ってくれた谷中君から別れ際にアドレスと電話番号を交換しようと言われたときは驚き、どうしようかと考えてしまったけど、初めてできた猫友達。
僕は考えることを止めポケットに入れていた携帯を取り出し連絡先の交換をしたのだった。
「また連絡するから」
「あ、う、うん・・・・ありがとう」
僕は谷中君が見えなくなるまで、後姿を見送り続けた。すると突然足を止めた谷中君はくるっと向きを変え、引き返してきたのだ。
足早に引き返してくる谷中君。僕は手に持っていた携帯を強く握りしめた。
「ど、どうした、の?」
「あのさ、源道のこと郁って呼んでいい?」
少し照れくさそうに鼻の頭を掻き目線を合わせようとしない谷中君。僕は俯き「いいよ」と返事を返した。
暗い、一人だけの高校生活が少しずつ色を取り戻そうとしていて、僕の鼓動を早くした。
僕は背の高い谷中君の顔が見たくて顔を上げて目を合わす。まだ少し頬を赤くする谷中君が幼く見えて、僕はほっとする。
手を差し出し握手を交わす僕と谷中君。
「「また明日」」
同時に同じ言葉が出た僕たちは、きっと仲のいい友達になれると、この時の僕は浮かれていて傷つくことを頭の隅に追いやり蓋をしてしまっていた。
僕が家に入るまで谷中君は表に居続けた。初めてできた友達。僕は笑顔で扉をくぐった。
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