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ひねくれ者の、にしおりをはさみました!
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ひねくれ者の、
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「伊澄さんはずるいよ」
「知らない」
「俺が必死に我慢しなきゃって蓋してるのを伊澄さんがいつもこじ開けるんだよ」
強くなる腕の力に息苦しくなるも何故かそれが不思議と酷く心地よく感じる
されるがままだった自身の体に力をいれて金井の背に腕を回す
すると今度は金井が小さく揺れた
「っ」
「俺を一人にしようとするお前が悪い」
「え〜…だってそれは、伊澄さんが…」
そこまで言って金井は口を閉ざした
まあ大体言いたいことは分かる
そもそも悪いのは金井じゃなくて俺だ
俺の問題だから
「まだ、お前に言えてないこと、ある」
「……うん」
「でも、ちゃんと話したいと思ってるから」
「…そっか、話してくれようとはしてくれてるんだね」
「当たり前だろ」
「そっか……」
抱き締められていて顔は見えないが
少し震えてる金井な声に随分と不安にさせてしまっていたらしいと今更理解する
話してしまえば楽になるのかもしれないが、それと同時にまた嫌われたらという俺の不安も拭いきれない。
だから、俺は金井を待たせることしか出来ない
「いつも待たせて悪い」
「はは、待たせてる自覚あったんだ?」
少し意地の悪い返しをする金井にムッもするがその通りなので何も言わない
というか言えない
ただ、これだけははっきり伝えておきたい
「別にお前とそういう行為をすることに抵抗はない」
「え?」
「むしろ、俺だって……」
「待って待って待って?」
「……?」
意を決してこっちは言ってるのに焦ったように止められてなんだよ、と少し見上げる
体は離さず隙間もない今の体勢に
恥ずかしさも感じるがそれよりも満たされる感覚の方が大きくて羞恥なんて気にならなかった。
「え、いや、今もの凄い大事なことをサラッと言わなかった?」
「は?」
「え、俺とするの嫌じゃないの?」
こいつは何を当然のことを聞いているのだろうか
「当たり前だろ?好きなやつとシたいって思うのは普通だろ」
そう、普通のはずなんだ。
俺がいけないと思ってたことは普通だったんだ
ハルのこととか色々ふっ切れた今だからそう思える
金井のおかげ、なのかな
本人には絶対言わないけど
何を言ってるんだ、という意味を込めて言ってのければ金井の顔が赤に染まり出す
「あ?」
「わ、ちょ、見ないで」
「っ」
ぐっと頭を金井の胸に押し付けられる
いや痛いし
なんなんださっきから、と大人しくしていると金井の心臓はいつもよりも早いリズムを刻んでいた
「お前何照れてんの」
「逆に伊澄さんはなんでそんな冷静なの!?」
なんだかいつもヘラヘラ笑っているこの男が焦っている姿はとても気分がいい
忙しなく打つ鼓動にもだと耳を済ませよとすり寄ればビクッと揺れる俺より大きな身体
「ちょ、ほんと伊澄さんどうしたの!」
「さあな」
なんだか気分がいい。
ドクドクと言う音を聞いてると収まっていた睡魔が俺を襲う
金井がここにいることの安心と
心地のいい音、ふわふわする頭でそう言えば寝ぼけてる間にキスしたな、と思い出してなんとなく腹が立つ
するんだったら俺がちゃんと起きてる間にしろよ
背に回していた腕を滑らして首にまきつける
ぐっと自身の方に力を入れれば予想していなかった衝撃に間抜けな声を出して頭を傾ける金井
「眠い、ベット連れてけ」
「え、んっ」
言い逃げみたいにそう呟いて金井の形のいい唇に俺のを重ねる
柔らかい感触に頭がより一層ふわふわする
腕に触れる金井のミルクティー色の髪もいつもに増してふわふわだ。
あ、風呂入ったからか
気持ちがいい
ちゅっ、と短いリップ音を鳴らし離れた唇
目を開けてみれば顔を真っ赤に染めた金井が金魚みたいにパクパク口を開いている
「間抜け面」
気分がいい俺は大サービスで微笑んでやって
そのまま金井に体重を預け半分夢の世界へ足を突っ込む
律儀に俺をベットの方まで運ぶ金井ごとそこに倒れ込む
遠くの方で金井の焦った声が聞こえたがそんなものは無視
「な、なんなんだよ!?」
珍しく声を荒らげた金井を他所に俺は一人先に眠ったのだった
好きな匂いに包まれて、好きな声を聞いて、好きなやつの腕で眠りにつく
俺って案外幸せ者なのかもな
なんて柄にもないことを思った
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