アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
とある日の朝 光太郎編
-
最近思うのは、充実してるってこと。
今までこんなに思えたことなんてなかった。
毎日が楽しくて、幸せ。
いつもの朝なのに、昔とはちょっと違う。
お父さんも、嫌な顔をすることがなくなった。
「おはよ。」
「おはよう。」
黙ってご飯を食べるだけだけど、おれ、専門学校を受験して良かったかも。
俺の中の想いをちゃんと伝えられたから。
本当のお母さんにも会いたい。
でも、それは俺が一人前の先生になってから。
きちんと探して会いに行こうと思っている。
「にいちゃ、ヤクルトあけて。」
弟は、相変わらず俺にべったりだ。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
ふたりで頭を下げ合って微笑みあう。
弟は可愛い。
例え半分しか血が繋がってなくても、大切な弟だ。
「光太郎さん、おかわりは?」
「いえ、大丈夫です。」
お母さんとは相変わらずだけど、あと2年で家を出るんだから大丈夫。
このまま、当たらず障らずの関係で過ごせばいい。
そろそろ大輔さんが起きる時間だ。
ご飯をかきこんで、席を立った。
俺の中での、もうひとりの家族に挨拶しなきゃ。
『おはよ、大輔さん。今日も一日頑張ろうね。』
『おー。』
ふふ、だーいすき。
大輔さんがいるから、毎日が楽しい。
大輔さんがいるから、笑っていられる。
例えば。
例えば、将来。
一緒に住むことは出来るだろうか。
例えば。
例えば、将来。
一生一緒に過ごすことはできるだろうか。
大輔さんが80歳の時、俺は57歳。
よぼよぼのおじちゃんになっていたとしても、ずっと一緒に居たい。
ふふ、60歳定年になったら、それこそずっと一日中一緒だ。
おじいちゃんと、おじいちゃんのカップルも良いんじゃなかろうか。
おじいちゃんになっても、ひとつのアイスを分けあいながら、静かに暮らしていけれればいいなぁ。
そして寿命が尽きた時、俺は彼を弔い、彼だけを想い生きていく。
きっと大輔さんのことだから、幽霊になって俺を脅かしにくるだろう。
そんな毎日も良いな、と思う。
真夜中に、ふたりきりのデート。
そして、俺の寿命が尽きる時、大輔さんが迎えに来てくれる。
きっと。
「ばーか、遅いんだよ。」
なんて憎まれ口を叩きながら。
大好き。
それ以上の言葉を知らないから表現できないけど。
本当に好き。
大好き。
だから、今日もメッセージを送る。
『大輔さん、大好きだよ!』
『ばーか、知ってるよ。』
ふふ、憎まれ口ごと、大好きだよ!
とある日の朝。
俺は幸せで、天にも昇る気持ちなんだ。
付き合ってくれて、ありがとう。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
48 / 872