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記憶の行方。 2019年5月1日
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てんやワンワン!
てんやワンワン!
ゴールデンウィーク10連休。
おれははじめての結婚式場で走り回っていた。
平成から令和。
このタイミングで結婚式を挙げる人、めっちゃくちゃ多かった!
「平成の締めくくりといえる4月30日、おふたりは・・・。」
昨日、3回聞いた。
そして
「新しい時代の幕開けとなる本日。令和元年5月1日に新しい門出を・・・。」
今日、2回目!!
そして、あと1回聞くことになりそうだった。
てんやワンワン!
てんやワンワン!
「松岡くんはシャンパンは注げないから、とにかくウーロン茶を配って!」
「はいっ!」
お兄さんたちをみていたら、シャンパンの重い瓶を手のひらで底を包むように注いでいる。
うん!無理!!
グラスの中で氷が踊る。
「うう、ウーロン茶はいかがですか?」
ブサイクだっていい。
重いトレイは両手持てと厳命された。
反則だけど、お客様にウーロン茶を取ってもらった。
「チーフには俺が怒られるから、気にせず行ってこい!」
「ひゃい!!」
アルバイトの桑原さん指導のもと、必死で配りまくった。
「いいか、着物の女性に飲み物やら食べ物を届ける時には特に気を付けて。失礼しますとしっかり声掛けしてから、自分に気付いてもらった上で運ぶんだ。」
桑原さん、目が さんかくになっている。
誰よりも怖かった。
「ひゃい!!」
どきどきしながら、食べ終わったお刺身醤油の入った小皿を引いた。
「それではここで、新婦は退席致します。」
うひょ!
すすす、スポットライトの下におれも入ってしまった。
慌てて足を引いたら、引き出物に引っかかった。
あ!転んじゃう!!
咄嗟の判断で、醤油皿の入ったトレイを抱きしめた。
ああ、新婦さんがびっくりした顔をして手を伸ばしてくれたけど、手を取ることなんてできない。
天井が見えて、このままおれ、背中から倒れると覚悟した。
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