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果ての先に。
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「ふー・・・。」
不思議なものだ。
拓篤がいないだけで、部屋が広く静かに感じる。
仕事を終えて、帰宅した。
タバコを吸いながら、ベランダから暗い地上を見下ろした。
ビールのプルタブを開けて、冷たいそれを喉に流し込む。
『終わったから、これから帰るね。ご飯食べた?』
『おー。食堂で食べた。』
そんなやりとりをしたのは、20分前の出来事だ。
拓篤、何があったんだろうか。
不安そうな顔をしていた。
こんな時、恋人の話をすぐに聞くことが出来ないのが悔しいと思う。
人の幸せ願ってる場合かよ・・・。
「ふー・・・。」
話、ちゃんと聞いてやらなきゃな。
抱え込みがちの拓篤の性格は、昔から知っている。
その度に飲みにつれだしてガス抜きしていた。
ピロン。
『駅着いたよ。何か欲しいものない?』
ふふ。
ふと悪戯心が芽生えた。
コンビニでデザートを選んでいた拓篤は、ブルっと震えた携帯を確認した。
『拓篤。』
も、もう!!
恥ずかしすぎるッ!
『シュークリーム買ってあげない!』
『いいよ、お前を食うから。』
ひーっ。
隣でゼリーを選んだお姉さんに気付かれないように携帯をしまった。
は、恥ずかしい。
大人はすぐに揶揄う。
余裕ありすぎる大人なんて、嫌いだ。
・・・好きだけど。
シュークリームを2個買った。
渡されたシュークリームを見た奏太は、これ食って我慢しろってことだよなと苦笑したのだった。
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