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上映準備にしおりをはさみました!
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上映準備
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僕と透くんは真ん中の後ろの方のかなりいいところに座ることができました。
僕はビニール袋の音がうるさくならないように、
そーっと中から箱型のチョコレートを取り出しました。
そしてまたそーっとぺりぺりと蓋を開け、
一粒とって口に入れながら、となりの透くんに箱を渡しました。
高橋「お、さんきゅ。」
透くんはそう言って一粒チョコレートを取って行きました。
僕は膝にチョコレート箱を置き、足元にビニール袋を置きました。
なんと、この今僕が座っている椅子も映画館さながらの作りになっているのです…!
手すりにはボトルが入れられる穴があります。
そこに途中で買った飲み物も入れ、僕の視聴準備は万端となりました。
透くんと、何見るんだろうねー、と話しながら時間を潰していると、隣に二人組が座ってきました。
靴を見ると、僕たちの靴とはラインの色が違うため、先輩ということがわかります。
僕がそっちに目を向けた時に、先に入ってきた人と目が合ってしまいました。
なんだか気まずくなり、とりあえず会釈だけしておきました。
向こうもいい人だったのか、見た目はチャラそうですがニコニコと会釈を返してくれました。
またぼーっと過ごしていると、さっきの隣の人が
声をかけてきました。
チャラ男「ねーねー、チョコレート持ってきてるの?」
僕「……う…?は、はい。」
突然のことに戸惑いながらも、なんとか返事をしました。
チャラ男「俺にも一つちょーだい。」
そう言われては、あげないわけにはいきません。
僕は膝の箱を隣のチャラ男先輩にあげました。
………ですが、いっこうに受け取る気配がありません。
僕「え、えっと………」
チャラ男「あーん、してよ。」
僕「うぇ………?」
僕はチャラ男先輩のこの馴れ馴れしい感じに少し不快感を覚えてしまいました。
どうしようか迷っていると、
高橋「星野…?どうした…?」
こちらの異変に気付いたのか、透くんがこっちを覗き込んできました。
高橋「……?……あーー。」
透くんは何かに気付いたのか眉をひそめ、
高橋「先輩!俺があげますよ!はいっ!」
そう言うやいなや、僕が手に持っていた箱の中からチョコレートを3粒くらい鷲掴みにし、
チャラ男先輩の口の中にぶち込んでいました。
チャラ男「………フゴっ!?……ごぼっ、ごっほ…!」
えっ…!?えっ!?
僕は透くんの驚きの行動に、透くんとチャラ男先輩の顔を交互に見ました。
チャラ男先輩大丈夫でしょうか…?だいぶ噎せています……
チャラ男「………ごほっ……ってめぇっ……」
落ち着いたチャラ男先輩はさっきまでニコニコしていたのが嘘のように透くんにガンを飛ばし始めました。
えっ、えっ…ど、どうしよっ…
それでも透くんは全然気にしていないかのように、チャラ男先輩の顔をじっと見つめたままニコニコニコニコしています。
チャラ男「………チッ………」
チャラ男先輩はここで大ごとにするのは良くないと思ったのか、舌打ちをして引いていきました。
間に挟まれている僕はもうドッキドキです……!
僕「と、透くん……ありがとう……」
僕は助かったのは事実ですから、透くんにこそっとお礼を言いました。
高橋「おう。ああいつ奴には気をつけろよ。それより、チョコごめんな。」
僕「ぜっ、全然大丈夫だよっ!」
細かいところに気を遣えるなんて……!!
透くん、男前ですっ………!!
僕は残り少なくなったチョコレートを平らげ、
新たなお菓子を袋の中から取り出しました。
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