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チクチクにしおりをはさみました!
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チクチク
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広瀬先輩と小道を抜け、温室に着きました。
温室の中には、やっぱり萩野先輩が居て、ベンチに座っていました。
広瀬「ちょっと萩野、さっき女の子が飛び出してきたんだけど。ここは密会場じゃないんですけど?」
広瀬先輩は座っていた萩野先輩に問い詰めました。
み……密会………
萩野「別にそんなんじゃない。ほら…ただのあれだ。」
萩野先輩は少しうろたえながらも答えました。
広瀬「………あーー。わかった、流石モテ男は違うね」
……?あれってなんだろう……
僕「あの……あれって………」
聞いていいのか迷いましたが、僕は「あれ」の意味がわからず、広瀬先輩に聞きました。
広瀬「うん?告白の事だよ多分。ね?萩野」
萩野「………ああ。」
告白……………
そっか、そりゃそうだ。
萩野先輩がモテないはずがない。
いっぱいお世話になって、助けてもらったけれど、萩野先輩にだって彼女さんくらい居るに決まっているじゃいか。
………はは。
僕の胸は何故かチクチクチクチクしてしょうがありませんでした。
僕「………それで……お返事は……」
あぁ。何故こんなセリフが口から出てしまったのでしょうか。
その答えを聞いて僕はどうするつもりなのでしょう。
萩野「そりゃあ、断るに決まってるよ。」
萩野先輩は心外だ。というような顔で答えました。
……………そっか、断ったのか。
僕はその言葉を聞いて安心した自分が、ひどく醜く思えてしまいました。
広瀬「春くん……?渡さないの…?」
僕「あっ………」
俯いていた僕は、広瀬先輩の声に顔を上げました。
あっ、そうだ、お礼。
………あっ、でも、渡せないや。
僕はサッとコーヒー缶を後ろに隠して、ふるふると首を横に振りました。
広瀬「………?」
広瀬先輩は何かを感じ取ったのか、何も言わずに様子を伺ってくれています。
萩野「俺に何か渡すものがあるの?」
僕は萩野先輩の声にピクッとなりましたが、まだ首を横に振り続けました。
このボコボコの缶コーヒーを渡すわけにはいきません。
僕「ち、違うんです。あの、今日じゃなくて、また今度お礼がしたいなって………」
広瀬「春くん………」
僕は缶コーヒーをギュッと後ろ手に握りました。
僕は上手く隠していたつもりだったのです。
ですが、
萩野「……………はーる」
ビクっ………
僕が頑なに首を振っていると、萩野先輩の僕を呼ぶ甘い声が温室に響きました。
すると、僕の体は金縛りにあったように動けなくなってしまいました。
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