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救いにしおりをはさみました!
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救い
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僕「…………ぅ……っ?ふ、ぇ…、せいやさん…っ?」
僕のぼやける視界の中、犀夜さんがこちらに駆け寄ってくる姿が見えます。
僕は一瞬幻覚かと思いましたが、暖かい体温に包まれた瞬間また堰を切ったように涙が溢れてきました。
萩野「……っ、ごめんな…っ、ごめんな春っ」
犀夜さんが僕を掻き抱きます。
……………っ……、犀夜さん……っ!
僕「……ぅえぇ……っ、も、もぅやだぁ……っ、助けて……っ、助けて犀夜さん……っ、ふぇ…っ」
萩野「………もう大丈夫だから…っ」
僕「………ひ…っ、ぅわぁあん…っ」
犀夜さんの言葉で、やっと終わったのだと悟りました。
萩野「ごめんな……っ、俺がもっと早く気づいてたら……っ!」
犀夜さんの抱く力がギュッと強くなりました。
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少しだけ落ち着いた僕はベンチに座らせられました。
そんな僕の目線に合わせて先輩たちはしゃがんでくれています。
僕「……グズ……っ、ず……っ」
広瀬「……ぇ…、それじゃあ春くんはずっと……?」
萩野「……ああ、俺は今日友人から聞いたんだ………、春が金高理沙たちにいじめられていて…、今朝……、そいつらが温室から出てくるのを見たやつもいた……」
………………やっぱり……っ、僕が反感買ったから花壇が……
僕「……ふ……っぇ、ごめんなさい……っ」
萩野「……春のせいじゃない、全部あいつらが悪いから」
広瀬「そうだよ春くん。……ずっと辛かったね」
2人の先輩に慰められて、またゆるゆるに緩んだ涙腺から、涙が出てきてしまいました。
僕「…………ふぇ……ぇ…っ」
………僕、女の先輩に負けて…犀夜さんの事避けちゃった………っ
僕「…………ぅぅ……、ぼく……、まだ犀夜さんの事好きでいていいんです……よね…?」
萩野「…………っ、当たり前だっ、……春、あいつらに何言われた…?」
僕「……………ふ…ぅっ」
僕が答えないでいると、犀夜さんの顔はどんどん険しいものに変わっていきました。
萩野「…………あいつ………、絶対許さない」
広瀬「………………………春くんを敵に回すのは萩野を敵に回すのと同じだからね」
僕はこっそりと花壇の方に目を移しました。
………………ごめんね……巻き込むつもりなんてなかったのに……………っ
そんな僕の視線の先に気づいたのか、広瀬先輩が笑顔で言いました。
広瀬「大丈夫だよ春くん。ここのお花さんはそんなに弱く育ててませんっ。………ほら、見て。茎から折れてはないでしょう?ちゃんと植え直してあげたらまた復活するよ」
萩野先輩は花弁を掬い上げ言いました。
僕「……ぅ……?本当ですか……?」
広瀬「もちろんっ」
僕「……………ふ…、よかったぁ………」
僕はそれだけでもすごく安心して、思わずフニャッと泣き笑いしてしまいました。
萩野「………………っ」
すると急に犀夜さんは僕の頭をぎゅっとしてきて、頭上で「絶対ぇ許さねぇ……」と、普段使わない言葉遣いになっていました。
広瀬「とりあえず、こんな破損行為をしておいて何もお咎めなしは絶対ありえないから。目撃者もいるんだし。」
萩野「……あぁ、その処分は学校に任せる。俺がやるのはその後だ………。学校にいられないようにしてやるよ…………」
犀夜さんちょっと怖いけど、それも僕のためだと思うと不謹慎にもキュンっとしてしまいました。
………………女の先輩に対して可哀想としか思わない僕は結構薄情なのかなぁ…………
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