アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
138にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
138
-
氏原side‥
確かに、僕がこうしろと言った。
あんなに顔赤くして、可愛い弁当箱見てる
心ちゃんを見ていたら、康明に食べて欲しいと思ったし。
でもだよ
でもさ。
「どうしたんだよ、そんな不貞腐れて。てか渡辺の
食ってみろよ!ばちくそうめぇよ。」
そんっっっっな嬉しそうな顔して食べる事なくない???
栄養バランスや色味考えて、ネギとかしそを混ぜ込みつつ季節を考えてしっかり焼くのが僕の玉子焼き。
ただお砂糖ぶち込んで半熟トロ甘なのが心ちゃんの玉子焼き。
しかも何この赤ウインナー。タコさんなのに6本足?
しかもバリエーション少なっ
僕のは、タコさんも足8本あるし、カニさんやチューリップ型も入ってるんだから。
なのに…なのに…。
「ゆきちゃんお昼無いの?ウチの玉子焼きあげる?」
爪楊枝を突き刺した玉子焼きを1つもらい、口の中に誘い込む。
……………………………。
「むかつく。………美味しいむかつく。」
「だよな!その玉子焼き最高じゃねえ?」
ほう。僕の玉子焼きでは不満か。
「高木先生なんて甘い玉子焼きばっか食べて
おデブになればいいんだ…。」
「あ?なんか言ったか?」
「なーーんも!」
「??」
僕らを見て苦笑いしてる心ちゃんに一睨み効かす。
あとでこの甘い玉子焼き作り方教えろよって意味を込めて
キーンコーンカーンコーン…
その時、昼休憩を終えるチャイムが鳴った。
あと10分もすれば、体育祭の午後の部が始まる。
心ちゃんは慌てて立ち上がり、最後にりんごを1個摘んで
少し残っている弁当に蓋をした。
「ごめん、ウチもう戻るからさ!弁当箱いつでもいいから!むしろ、返さなくていいレベルだし!
じゃね!昼からも頑張ろ!高木っち!…ゆきちゃん!」
小さな鏡を取り出して、目元を気にしながら
保健室を後にする、僕の”親友”。
パタパタと階段を登っていく音が、だんだん遠くに消えて行く。
なんだか忙しなかったなあ…。
けど楽しかった。
僕を襲った頭痛や吐き気は、もうどこかに行ってしまっていた。
「…ふぅ。やっと2人か。」
ここにいるのは、僕と康明、2人だけになった。
「…クソガキは?」
「トモナリ君の事?」
「他に居るかよ。」
眉を寄せて周りを見渡す康明にクスリと微笑む。
「トモナリ君なら、午前だけ出れば単位取れるからって
今日はもう帰ったよ。」
「ん…そか。体調…もう寝てなくて平気か…?」
康明の手が、僕の耳を掠めて髪を梳く。
さっき心ちゃんとやりあったせいで、少し指に引っかかる
「平気。大丈夫だよ、康明…。」
康明は僕の頭から手を離したかと思うと、おもむろに
腕を掴んで、僕を近くのソファーに押し倒した。
ベッドが埋まっている時も生徒が身体を休められる様にと
広めの作りのソファーで
上にのし掛かってきた康明に強く抱き締められる。
「……っ、あんまり…心配掛けんなよ……。」
僕の首元に顔を埋めた康明は少しだけ震えていて
肩には熱い息がかかった。
「…ごめんね、心配かけてごめん。康明。
もう平気だから……よしよし。」
目の前の頭に手を置くと、康明はすぐにその手を絡めとって身体を起こした。
「…あんまりガキ扱いすんじゃねえよ。」
「べ、別にしてな……んぅ…」
静かになった保健室
そこには鍵もかかっていないというのに
カーテンも締めていないそこは、外から丸見え。
ソファーの背もたれが申し訳程度に僕らの姿を隠してくれている。
こんな所で落とされる優しいキスに
抵抗すら出来ない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
139 / 448