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184
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渡辺side‥₁
高木っちに……ウチが、告白………?
まだ少し涙目だけど、まっすぐにウチを見て
ゆきちゃんが発した言葉。
それは今まで考えた事もないものだった。
高木っちは先生
ウチは生徒
それ以上でも以下でもない。
高木っちの授業ではとにかく高木っちだけを見て
白衣を着た実験の時は思わず顔がニヤけて
高木っちの採点した答案用紙は何より大切にした。
だって生徒のウチにはそれしか出来ないから。
怖いもん。
もし、告げたとして上手く行くとは思えない。
避けられるのは悲しいし
だけどいつも通りに接して来るのも
何も思われていないんだって悲しい。
結局どんな選択をしても、良くない未来が待っている。
そう思うとウチは
今のまま、生徒として高木っちにしがみついている方が
傷付かずに済むと思ってる。
「…え〜、ウチはしないかな〜?振られるのにあと半年も
高木っちのクラスに居られる自信ないし〜…。」
えへへ、と笑いながらゆきちゃんに言うけど
ゆきちゃんは何も言わず、じっとウチを見ていた。
それは逃げ腰のウチを軽蔑した目なのか
担任に恋愛感情を持っているウチへの同情の目なのか
ゆきちゃんの考えていることが
ちっともわからない。
「ゆ…ゆきちゃん?」
動かないゆきちゃんにもう一度声をかけると
静かに息を吐いたあと、ゆっくりと彼の唇が動いた。
「心ちゃんって、余裕なんだね。
学校休まない限り、毎日教室で会えるからって
それで満足出来るんだ。………凄いね。」
ゆきちゃんの”凄いね”は、日本語の意味としては
確かに褒めているはずなのに
何故かあんまり嬉しい気持ちはしなかった。
「…でも僕はそれじゃ足りない。
学校だけじゃ足りない。形のない関係じゃ足りない。」
ウチから一切目を逸らさないゆきちゃんは、ウチに目を逸らす余裕もくれない。
周りには沢山人がいるのに、ここだけ別の空間みたいに
静かで、妙に冷たくて、体が思うように動かない。
「……僕、明日高木先生に気持ちを伝えようと思う。」
「………え…?」
右手に持っていたスプーンが
カチャン…と音を立てて下に落ちた。
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