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12にしおりをはさみました!
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12
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僕の話を聞くにつれて、凛の顔がだんだんと険しくなる。
鬼が人間を喰らっていたという所では、両手で口を覆って俯いてしまった。
「…ということなんだけど…。大丈夫?」
全て話し終えて、僕は凛をそっと見る。
凛は、少し青い顔を上げると、細く長い息を吐いた。
「…大丈夫。まさか十五年前にそんなことがあったなんて…。全く知らなかった。銀ちゃんも鉄さんも知らないと思う…。清や宗忠さんもそうだと思うよ」
「はい。父さんやおじさん、じいちゃんも、知ってたら話してくれた筈です」
天清に向かって頷くと、凛は何かを考える素振りをする。しばらくして、凛が僕達に力無く笑って言った。
「青藍も天清くんも、話してくれてありがとう。銀ちゃんと相談してみるよ。心隠さんの家も正確にはわからないけど、何となくの地域は覚えてるんだ。一度、その辺りを探してみる。…鬼の知り合いって他にいないしね」
「うん、わかった。でも気をつけてね。特に凛は無理しないでよ?」
「大丈夫。それにその言葉、そっくりそのまま青藍に返すよ。青藍はもう二度と怪我しないこと。自分以上に自分の大切な人が傷つくからね。ね、天清くん」
僕の隣で天清が、何度も首を縦に振る。
「そっ、そうですよっ!青藍が怪我する度に、俺が代わりに怪我すれば良かった、守れなかったっ、って辛かったんだ…っ!凛さんっ。もっと青藍に気をつけるように言ってあげてくださいよ…っ」
「ふふっ、天清くんも辛かったんだね。青藍を見てるとさ、昔の俺に似てるなぁと思って。俺も無理して怪我をして、その度に銀ちゃんが辛そうにしてたから…。だからもう、今は無理はしないよ?銀ちゃんが俺を守れるように、銀ちゃんの傍を離れないから」
綺麗な笑顔で笑う凛を見て、僕は『やっぱり二人は理想だな』と改めて思う。
僕がテーブルの下で天清の手を握ると、天清もしっかりと握り返してくれた。
「うん。僕ももう無理はしない。一人で何でもしようと思わない。危険だと思ったら、天清や周りに助けを求めるよ。僕も、天清の辛い顔は見たくないから…」
「…青藍!いつでも俺が守ってやるからな!」
天清がカバリと僕の肩を抱き寄せて、潰されるんじゃないかと思うくらいのバカ力で抱きしめた。
おかげで治癒してもらったばかりの左肩が痛くなってしまい、思わず「痛い!」と叫んだ僕に、天清は真っ青な顔をして震えながら謝っていた。
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