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不安なんですにしおりをはさみました!
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不安なんです
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テッちゃんは、いま保健室のベッドで寝ている。
顔に血の気が戻らない。
死人のように土気色で、指先も冷たくて、不安になる。
手を握り、テッちゃんに自分の熱を分けるかのように、額につけた。
「ただの気絶ですし、そんな心配なさらなくても大丈夫ですよ」
そういう保健室の先生に目を向けず、テッちゃんを見ながら返す。
「わかってはいるんです。けど、昔大事な人を亡くしたことがあって、不安なんです。また、失うかもしれないと思うと……」
「……そうですか。私はこれから出張なので、後はお願いできますか?」
「はい……。あ、でしたらついでに、職員室にいるあいつら部員に、ここに来るように言ってもらえますか?」
「……え、えぇ。わかりました」
「ありがとうございます」
先生がいなくなり、保健室には俺とテッちゃんだけになる。
「テッちゃん……」
俺、少しだけあいつらに話してみようと思うんだ。
あいつらは許せねぇ。
マジで許せねぇ。
けど、きっとテッちゃんのために俺が悪いことしたら、テッちゃんが傷つくもんな。
だからまずは、あいつらの話を聞いて、話し合おうと思う。
本当はボコボコにして、同じ思いをさせてから殺してやりたい。
けど、命は大切にするって、約束だもんな。
自分の命だけじゃなくて、他人の命も大切にしないと。
でないと、約束破っちまうもんな。
けどさ、テッちゃん。
テッちゃんが笑ってくれないと、
テッちゃんが止めてくれないと、
テッちゃんがいてくれないと、
俺、ダメになりそう。
気ぃ狂っちまうよ。
だからさ、早く起きて?
「テッちゃん……」
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