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十六年もまったにしおりをはさみました!
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十六年もまった
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「し、失礼します……」
そう言って、テッちゃんに酷いことした奴らは保健室に入ってきた。
「こっちだ」
俺が厳しい顔でそう言うと、奴らは怯えた顔でこちらに来る。
本当はテッちゃんにもう二度と近づいて欲しくない。
けど、テッちゃんの傍にいないと、なにするかわからない。
だから、ここで話すんだ。
過去のことを。
テッちゃんが足を向けている方に奴らを座らせた。
人数は、キャプテン合わせて五人。
キャプテンが一番前にあった椅子に座った。
他のも、それぞれ椅子に座る。
それを見てから、俺はテッちゃんを見て、テッちゃんの手を握った。
頷いて、俺は口を開いた。
「少し、昔の話をする」
そう言うと、奴らは首を傾げながらも話を促した。
「俺はな、小さい頃から変なものを見てた。まぁ、いわゆる幽霊ってやつ。
俺が、秀徳に入る少し前、家の近くの公園のさ、バスケットコートの中で、ある一人の幽霊と出会った。
彼は、仲間に信じてもらえなくて、
けど、仲間が大好きだから、仲間のために死んだんだって言った。
俺はそいつを成仏させたくて、行動を共にし始めた。
ある日さ、そいつが未練を思い出して、その未練を俺は乗り越えていった。
けど、あるとき気づいた。
俺はそいつが好きになってたんだって。
だけど、そいつには恋人がいたし、ましてや幽霊だ。叶わない恋だってわかってた。
けど、どうしても一緒にいたくて、わざと試合に負けた。
そしたらそいつ、かつての仲間の夢に出て伝えいこと伝えたあとに、俺に黙って消えようとしてさ。
町中探して、ようやくそいつと出会ったバスケットコートの中でそいつを見つけてさ、言ったんだよ。
『おまえがいない世界に、生きてる意味ない』
ってさ。
そしたらさ、そいつが俺に怒ったんだ。
『僕に命を無駄にするなと言ったのは、君でしょう!!!!』
なんてさ。
しかもそのあと、
『君は生きてください』
だの、
『君には待っていて欲しいんです』
だの言うんだぜ?
必ず生き返って、俺に会いに来るってさ。
そう言って、成仏したんだ」
テッちゃんの手をもう一度額に当てる。
「俺はずっと待ち続けたんだ。もう、十六年もまった。やっと取り戻したんだ。ずっと待ち続けた愛しい人を」
ギュッと握り締めてから、顔を上げる。
「信じるか信じないかはおまえらの勝手だよ。でも、もしテッちゃんにまたなにか危害を加えれば、例えどんな状況でも、どんな理由でも、おまえらを殺す。わかったな?」
それに、五人は茫然と頷いた。
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