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cake or noodle ····or kiss ?2にしおりをはさみました!
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cake or noodle ····or kiss ?2
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電子音を鳴り響かせながら入ったコンビニは深夜とあってか人が少ない。
そしてラッキーなことに弁当類を補充したばかりのようで、種類も豊富に揃っている。
「····理央、またそれ買うのか?」
そう言って俺の手元を見ると竜也は眉をしかめた。
「なんだよ、別に俺がなに食っても良いだろ。ていうか、竜也だってまたそれかよ。」
俺も負けじと竜也の手元を見て笑った。
俺の手の中にはケーキが。
竜也の手の中にはラーメンが。
それぞれの手にはいつもと同じメニューが握られていた。
そう、竜也は飲むと食欲が増す。
普段は『もっと食えよ!』ってくらい食べないくせにアルコールが入るとバカほど食べる。
今だってさんざん店で食べたのにまたラーメンを選んでいる。
反して俺は、飲むと甘いものが食いたくなる。
だから飲んだ帰りには必ずコンビニでケーキを買ってしまう。
「こんな時間に甘いもん食ったら太るぞ。」
「そっくりそのまま返すよ。こんな時間にラーメンなんか食ったら太るからな。」
互いにレジで支払いをしながら言い合うのも、もう恒例みたいなものだ。
「帰りました~。」
「····かえりました。」
俺の後に玄関を潜った竜也が、ボソッと挨拶するのに「はい、お帰り。つっても竜也んちじゃないけどな。」とケラケラと笑う。
そんな俺の様子にフッと笑うと「腹へった。」と竜也はテーブルの上にコンビニラーメンを出し蓋を開け始めた。
「先に食ってろ。お茶出してやるから。」
冷蔵庫からお茶を取りだし、コップと一緒に持っていく。
見ればまだラーメンは手付かずで、俺を待っていたらしい竜也に笑いかけた。
「食ってろって言ったのに。ま、サンキューな。」
「····お茶を待ってたんだ。」
ぶっきらぼうにそう答えるのが可笑しくてまた笑った。
コイツはこういうところが素直じゃなくて、それがまた面白い。
大学では硬派だの、格好いいだのと騒がれているが、意外と子供っぽいところもあると思う。
「なんでもいいよ。んじゃ、いただきます。」
「いただきます。」
丁寧に手を合わせ向かい合って食べる。
大口でケーキを頬張る俺と、ズルズルと勢いよく麺をすする竜也。
無言の時が流れるが、それもまた居心地が良い。
「やっぱり飲んだ後のケーキは旨いよなぁ。」
「それはよく分からんが、飲んだ後のラーメンの旨さは分かる。」
「俺はそっちのが無理だわ。」
他愛のない会話。
いつもと変わらない風景。
····のはずだった。
「理央」
「ん~?」
名前を呼ばれ顔をあげたその瞬間。
·····チュッ
「········ふぇ?」
目前に竜也の整った顔があったかと思うと、驚く暇もなく口の端に温かいものが触れた。
「·····あま。」
顰めっ面で離れていく竜也の顔を見つめる。
····なんだ、今の?
キス···された···?
「な、な、な、何を···!」
認識した途端に顔に熱が集まる。
口元を手で押さえ、動揺して震える声で抗議した。
「何で、キス···!」
「キスじゃねーよ。」
「え、違うの?」
「違うよ。今のはお前が口の端にクリーム付けてたから取ってやったんだよ。感謝しろ。」
「······ありがとう···?」
さらっと否定されてしまった上にそんな風に言われ、俺もついお礼を言ってしまった。
え、でも取り方他にあったんじゃないか?
舐めて取るのはおかしくないか?
パニクって正常に働かない頭で必死に考えるが、次に竜也がとった行動で俺はさらにパニックに陥ることとなった。
「キスってのは、こういうのを言うんだよ。」
「は?····!?」
顎をクイッと持ち上げられ、気付いたときには唇に温かいものが被さっていた。
見開いた目に映るのは竜也の瞳で、何が起きているのか理解するよりも先に口の中にヌルッとしたものが差し込まれた。
「んー!!」
咄嗟に離れようとしたが、いつのまにか頭はガッチリと押さえつけられていて逃げることができない。
見つめてくる瞳に耐えられなくてつい目を閉じると、差し込まれた舌が上顎を舐めた。
「ふっ、あ···ちょ、待てって···んぅ···」
口の中で好きに動き回る舌に翻弄されて体から力が抜けていく。
····チュッ
音を響かせて離れた唇。
ゆっくりと離れていく竜也を、バクバクと煩い心臓を押さえて見つめた。
「···な?これがキス。」
「·····おぅ。」
ニッと笑う竜也に思わず返事をするが、頭の中は真っ白で。
「えーっと·····何でこうなった?」
「········鈍感にもほどがあるだろ。」
呆れたような声がしたがそれどころではない。
口の中に残っている感触と、僅かに感じるラーメンの香り。
「竜也···やっぱり、飲んだ後のラーメンは濃いだろ。」
「そこかよ·····」
うん。
飲んだ後はやっぱりケーキが良い。
現実逃避と言われようが、今の俺にはこれが精一杯だ。
理解できたのは、竜也からのキスが嫌ではなかったことと、ラーメンは飲んだ後にはキツイということで。
「····まぁ、いずれ手に入れるから。」
竜也が小さく呟く声に気付かない振り。
「ケーキのが旨いよなぁ。」
平静を装って視線を反らした。
もう少し···もう少しだけ待ってくれ。
俺だってそこまで鈍感じゃないから。
この居心地のよい関係が変わってしまうのが惜しいだけなんだ。
俺達は親友で。
だけど、そうであり続けるのはもう難しいのだと···そう気付かされた夜。
火照る顔と、じんじんと痺れる唇。
無意識のうちにニヤけていることを竜也に気付かれないように、俺は残りのケーキを頬張った。
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