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ちゃらお君の困惑(2)にしおりをはさみました!
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ちゃらお君の困惑(2)
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「恭弥、だめ?」
眉尻を下げてしょぼんとした顔で聞かれて恭弥は答えに窮する。
なにしろ恭弥は今まで彼氏がいた事がない。彼女はいたりいなかったりだったが、男とは付き合ったことがないのだ。
恭弥がどうしたものかと思案している間、静も考えていた。
(だいぶ困ってるな。押せばいけそうだけど…可愛い顔してるしこのまま見てたい)
膝の上で困り顔で考えている恭弥は慣れない体勢に戸惑って、とりあえず静の肩に手を置いてはいるが腰は浮かして体重を掛けないようにしている。
立つと静より頭1つ分程背の低い恭弥が今は上から見下ろしている。と言うより、静が恭弥を上目遣いで見上げていた。
「……せいは俺のこと、好きなの?」
だんまりも良くないと必死に絞り出した疑問に静は内心で可愛すぎると笑っていた。そんなピュアな人間でもないだろうにと。
「うーん…まだ好きかはわかんないけど、可愛いから欲しいな〜って思ってるんだけど」
結構最低なことを言っている自覚はあるが、静は正直に答えた。
恭弥はというと『可愛い』と言われたことに落ち着かず、しかし嫌じゃないと思いどんな顔をしていいかわからなくてそっぽを向いた。
「お試しでもいいよ。俺のこと全然知らないだろうから、これから知って欲しい。その上で無理だと思ったなら俺は二度と恭弥の前には現れないから」
(まぁ、無理だけどね、学校で会うし)
しかしこの言い方をすれば恭弥が断れないことを静はわかっていて言っている。性格が悪い。
「お試し…」
「とりあえず2週間、お互いのことを知るってどうかな?」
そう言うと恭弥は数秒視線をさまよわせた後、こくりと頷いた。
静が目を細めて褒めるように、しかし嬉しそうに笑うと恭弥はやはり顔を赤くした。
* * *
それから2週間の間、数日に1回恭弥が静の家を訪れてはのんびり過ごしたり、週末はショッピングモールでぶらぶらとデートをしたり、お互いの好きな物や苦手なもの、趣味などを教えあったりした。
静は恭弥をよく見ていて、恭弥が落ち込んでいたり疲れていたりするとあの手この手で甘やかした。撫で回したり抱きしめたりはもちろん、甘いもので釣ったり、美味しいものを食べに行ったりもした。
いつもはリードするのが当然だった恭弥は、静にされる扱いに慣れなくて初めは戸惑ったり居心地が悪そうにしていることもあったが、そこは静の手腕でいつの間にか慣れていた。
そんな日々を過ごして、明日で言っていた2週間の期限という土曜の夜、恭弥は静の膝の上でうとうとしていた。
静の膝にあの日と同じく跨り、しかしあの日とは違い首元に抱きついていた恭弥は全身から力を抜いてだらりと身を任せていた。
(今日で、終わり…)
眠気と戦いながら考える。
(付き合わないなら、もう二度とせいは会ってくれないかもしれない)
恭弥は思わずぎゅっと腕に力を込めた。
(なら、付き合わないなんて選択肢はない…けど)
だけど、と恭弥は考える。
(俺はタチだし、せいもたぶん…タチ)
そこだった。恭弥が問題視しているのは唯一そこだけだ。バカバカしいと思うかもしれないが、タチネコ問題は本当に大問題なのだ。
しかし、と思う。今この状況を客観的に見たらどっちがどっちかは明らかだろうと。
ソファで寛ぐ静と、その膝に乗っかって甘えている恭弥。
(あーあ、せいのせいだよ…)
眠気を振り払って恭弥はむくりと起き上がる。そして静と目が合うと口を開いた。
「せいは俺を抱きたい?」
静が珍しくきょとんとしていた。
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