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ちゃらお君の忿懣にしおりをはさみました!
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ちゃらお君の忿懣
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恭弥は怒っていた。拗ねるを通り越して怒っている。
ちょっと拗ねて気を引こうと思っていたのが失敗したからだ。思い通りにならなかった事に対する苛々と、当然構ってもらえると思っていたのにそうならなかった事から来るちょっとした羞恥、更にさっきの静の言動。
『恭弥、泊まるならお風呂入っておいで』
風呂から上がった静に言われた言葉だ。
恭弥は静が風呂に入っている間、多少不機嫌ながらも出てきたらその不機嫌さを悟らせる事なく構ってもらい、そうしたら自身の不満も解消されていつものように気兼ねなく甘えられる、そう思っていたのに…
(泊まるなら?風呂入っておいで?何それ!まるで泊まるの?別にいいけど…みたいな言い方!週末なんだから泊まるに決まってるじゃん!散々放置しておいてあの言い方意味わかんないんだけど!)
恭弥は今日、学校でセフレに最近付き合いが悪いとぐちぐちと文句を言われ、それを適当にあしらっていると強烈な平手打ちを食らった。その真っ赤になった頬をクラスメイトに揶揄われ、鬱憤が溜まっていた。そこに癒しを求めて会いに来た静の放置プレイ。恭弥はいつもなら気にならなような静の言動に過敏になっていた。
(だいたい恋人が家に来てるって言うのに目もくれず仕事するなんて…)
『恋人』の部分でちょっと気分が浮上し、『仕事』の部分で沈下した。
仕事を優先するのは当然だろうと言う理性と、それでも自分を優先して欲しかったと言う感情がぶつかり合う。
いつの間にか恭弥の気持ちは沈み、しょんぼりとしていた。
風呂から上がってリビングに行くと静がソファで雑誌を手に寛いでいた。邪魔していいものか迷い躊躇っていると静が恭弥の方を向いた。
(何を考えてそんな顔してるんだか…)
恭弥は萎れていて、さっきまでの元気…もとい不機嫌さは微塵も感じられなかった。静は読んでいた雑誌を置くと片手を上げて恭弥に差し出すように向ける。
「きょーや、おいで?」
困ったように眉を寄せ、眉尻を下げた恭弥は静の顔と手を交互に見るが足を踏み出せずにいる。
「来て」
静は少し語気を強めて呼ぶ。恭弥は弾かれたように一歩踏み出しそのままソファに向かって歩く。手の届く範囲まで来ると恭弥は恐る恐るといった様子で静の手に自分の手を重ねた。
すると静がくいとその手を引いて恭弥を倒れ込ませて自身の膝の上で横抱きにした。
「どうしたの?」
静が優しく問う。急に手を引かれた事に驚いていた恭弥はその質問には答えなかったが、やっと静に触れられて幾分気分も良くなった。首筋にすり寄ると静は「擽ったい」と言ったが、顎を恭弥の頭に乗せてくつくつと笑っていたため恭弥は構わずぐりぐりと更に頭を押し付けた。
暫くすると恭弥からすーすーと規則的な寝息が聞こえてきて、静はニヤリと口端を吊り上げて笑った。
「無防備だなぁ恭弥…そんなんじゃあ襲われても文句言えないよなぁ」
静は恭弥を抱えたまま立ち上がった。そして起こさないようにそっと寝室まで運んだ。
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